40話 ページ40
「A、ゼルダやばかった。俺、鳥肌立ちまくってた。その後のメドレーで叩けるか不安だったレベルで」
「褒めすぎです御影くん」
コンサートも終わり、片付けをしていると、御影くんが話しかけてきた。
彼は目をキラキラさせている。
いつも講義の時は死んだような目をしているのに。
「いやいや、A。アレンジやばすぎてこっちも鳥肌たったわ。謙遜しないで」
「えみちゃん、ありがとう。アレンジは結構頑張ってみたけど、もうちょっと凝りたかったな」
「あんたってほんと音楽バカ」
呆れたのか、えみちゃんは苦笑する。
すると、私の肩に手を置いてきた人がいた。
「俺でも知ってる曲があったから、テンション上がっちゃった」
整った顔で笑顔を向けてくるのは、ひかるくん。
「ちょっと、あんたこれから女の子とデートなんでしょ。なに触ってんの私のAに」
ぱしんっとその手を振り払ってくれたのはえみちゃん。その顔は険しい。
「いやぁ、ドタキャンくらっちゃってさぁ。ねえA、これからご飯一緒に行かない?俺奢るから、プチ打ち上げしよ」
それを気にせずに、私を誘ってくるその目は、なんだか濁って見えた。
ぞわりと、背筋が凍った。
彼はそのまま私の手を握ってこようとする。
「クソ男。口説くんじゃねえよ」
「ほんっと最低。ねえあんた、申し訳ないけどAは私が送るからこいつを寮まで送ってやってくれない?」
握られそうになったのを、御影くんがひかるくんの手をぱしんっと叩き落としたことで防がれる。
その間に、えみちゃんが私を背中に隠してくれる。
「彼氏にあんたって言い方できるのお前だけだぞ……仕方ねえ。今日のデートはキャンセルだな」
「ちょっとちょっと!君たちほんとにカップル!?俺のためにデートキャンセルっておかしいからね!?」
思わず突っ込んだひかるくんに容赦ない蹴りが入る。やったのは御影くんだ。
そして、えみちゃんと御影くんは同じような笑顔をひかるくんに向けた。
「「Aの方が大事だから」」
「……これだからAセコムって言われるんだぞお前ら………」
実はこのカップルも、私に対して過保護である。
✱
「え、Aこのあとご飯誘われてるの?」
ひかるくんを引きずった御影くんを見送ったあと、私はえみちゃんに話した。
「誰と?」
「し、知り合いの人と。だからごめんね」
「いや、別に大丈夫だけど……なんかあったら連絡してね」
「うん、ありがとう」
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです! (2019年11月21日 18時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました!キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね! (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2019年11月10日 20時