15話 ページ15
「いや、れとさん、頼むから……!」
『なぁーーんか、怪しくない?ねえうっしー』
キヨさんがどんなに頼み込んでも、レトさん、と呼ばれる関西弁の彼は全く引く気がない。
『そういえばフジが昨日、キヨが天地ひっくり返るようなことして、問いただそうとしたのにできなかった!!うっしー今度手伝って!って連絡来たんだよ。それも関係あるか?』
うっしー、と呼ばれる人はとても低い声の人がそういうと、キヨさんはわかりやすく息を詰まらせた。
「……そ、それは。てかなんでフジがうっしーにそのこと連絡してんの?!」
『レトルトだとキヨに甘くなる時があるからってよ』
『うっそぉ!キヨくんに甘いわけないやん!』
レトさんは大声で反論した。すると、クスクスとレトさんとうっしー、さん以外の男の人が笑った。
『いやいや、レトさんキヨに甘いって』
「どーでもいいわ!」
キヨさんは3人に好き勝手言われてるのか、大きな声で突っ込んだ。
「……ちゃんと、後で話すから」
そして、真剣な声色。
『……せめて連絡入れてよね、何も無いのまじでビビったわ』
『そーそー、トークも見てねえし、スタンプくらいは返せよ』
『ふふ、2人とも優しいね。キヨ、電話もメッセージも返さなかったから、結構心配してたんだよ』
「……ガッチさん、レトさん、うっしー……」
「……」
キヨさんの周りには、キヨさんを心配してくれるいい人がいる。
それがすごく、私にとって眩しく見えた。
「うん、ありがと。別に事故とかあったわけじゃない、し」
キヨさんの懸命な説得に、3人は(多分わざとらしく)渋々と引き下がった。
また連絡しろよ!と言って電話が切れる。
「……あ、ごめん。話丸聞こえだったわ」
「今気づいたんですか」
「完全に忘れてた」
「……ふふ」
「なぁに笑ってんだよ」
なんて言いながら、彼はエンジンをかける。
失敗したなぁ、いつも通知切ってるせいで全然反応してねえからなぁ、とぼやいて、車を発進させた。
「多分さ、Aのこと、アイツらに言うかもしれない」
「まあ話の流れ的にそうなりますよね、いいですよ」
「いいの?」
「はい」
キヨさんは、少し呆れた感じで、ため息をついた。
「なんでそう簡単に言えるんだよ……」
「え?」
「……いーや、わかんねえならそれでいいよ」
キヨさんはその後、話題を切り替えた。他愛のない話を続けて、夜の道を走っていく。
私は彼の話に答えるべく、スマホを閉じて耳を傾けた。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです! (2019年11月21日 18時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました!キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね! (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2019年11月10日 20時