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「ちょ！？」
「まあまあ、早く行くぞ！」
「ふ、二人とも焦らんでええって！ お願いやから！！」
だがシャオロンは、それを聞いているのか否か、速度を緩めようとはしない。
やっとの事で人混みを抜け、街灯が薄く照らす夜道を三人で歩く。いい大人(しかも一人仕事帰り)が夜道を息切れしつつ歩くってどんな状況やねん。子供が見たら指差して笑うぞ。知らんけど。
「しゃ、シャオロン…お前、今日中には帰るんか？」
「そんな訳無いよなぁ」
「だろうな」
「え、帰らないんか！？」
エミさんは後ろで俺達の会話にツッコミをいれている。ただ、俺達がそれを聞いているかと問われれば否定するだろう。てか此奴いつまで腕引っ掴んでんねん。
「シャオロン、そろそろ手ぇ離してもろてもええ？」
「あ、忘れとったわ」
なんて笑いながらやっと腕が開放される。やっぱそんなこったろうと思ったわ…。
呆れ気味に三人並んで進んでいると、俺の家の前についた。鞄から鍵を取り出し、二人に中に入るよう促す。シャオロンは相変わらずズカズカと入る。俺の家やからって油断は禁物…っていうかエミさんを見習えや。滅茶苦茶礼儀正しいねんぞ。
「まぁええわ、二人とも飯食ったん？」
「俺らは食ったで！」
「すいません、仕事帰りに…。」
「いや、ええって。シャオロンは取り敢えずエミさん見習うか？」
「何でじゃい！」
軽く口を叩き合って、着替えるために自室へ戻る。下から笑い声が聞こえてくるが、今は気にしない事にしよう。
スーツより楽な格好にし、一階へ戻る。まだ栄養を取り入れていないものだから、腹の虫が鳴き始めている。今夜は簡単なものでもいいか、あいつらもいるし。そう呟いて、テキパキと腕を進めて行く。
「お、これから夕食っすか？」
「せや、後で話は聞くから取り敢えず飯食わせてや」
「おk〜」
軽く了承してくれたので、まあ良しとしよう。明日も仕事があるというのに泊りに来る姿勢は少々いただけないが。
でもまあ、邪魔されないだけマシだ、そう言い聞かせるようにして目の前のインスタント食品を口に運ぶ。うん、美味い。どこかの誰かが作った料理とは違って。ブーメランだって？気にしない気にしない。
今はまず、この後の話し合いに向けて、少し心の整理をさせたい。そしてまた、口内に栄養の塊を運び入れた。
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作者名：ringo517 | 作成日時：2020年10月11日 20時
