戦争屋、分裂中におき。 (ページ20)

今日:15 hit、昨日:4 hit、合計:3,957 hit

19 ページ20

えぐ、えぐ、としゃくり上げるオスマン。この状況を見ていられなくなったのか、顔を背けているエミさん。…そして、そんな状況で尚も、悶々と思考を繰り広げている俺。

三人とも、心境は何もかもが違っている。そんな俺たちを、太陽は慈悲か無慈悲か、沈みながら空間ごと赤く染めるだけだった。

何だか、此処に居られ無くなる気がして、此処に居たく無くなって。踵を返して、その日は帰宅した。

エミさんは、引き止めなかった。オスマンは、未だタオルに顔を埋めたまま。

誰でもいいから、俺を受け止めて欲しかった。そんな思いは虚しく砕け、溜息と一緒に夕空へ吸い込まれて消える。

その日はもう、何かをする気力なんか全て消えて、無意識のうちにやるべき事はやって、かき混ぜられたように渦巻く心の内は、眠りに着くと同時に途切れた。

誰かを頼る何て事は出来ずに。

そして朝、目が覚めてなんとなくスマホの電源を入れる。現在の時刻が表示されている下に、メールが一件届いているという表示があった。昨日の内に来ていたらしい、9時間前と表示されている。

未だ寝ぼけている脳を半ば無理矢理起こし、目を擦って名前を確認する。ロボロだ。如何したものかとパスを開き、メールアイコンをタップ、メッセージを読む。

その直後、気がつくと手からスマホが落ちていた。ガタッ、と音を立てて落ちるスマホ、それを気にも留めず立ち尽くしている自分。ロボロからのたった一言で、俺の夢は崩れかかった。

『俺さ、今日限りで我々だ、抜けるわ。』