【銀魂×約束のネバーランド】 雪の降っていたあの日2

70自由の朝日 ページ44

2年以内に必ずここに戻り、フィルたち及び計5つのプラント全ての子供達を連れて出る。

これが最終目的になる。

全員が塀を登り終え、ひたすらに目的地まで走ってる最中、予定よりも早く警報が鳴った。

エマ「警報……予定よりも早いな。」

レイ「どうする!?まだ橋まで全然遠いぞ。」

「大丈夫だから今はとにかく足を動かして！」

エマ「問題ない、元々橋へ向かうつもりはない。」

少しして私たちは足を止めた。

エマ「ここから対岸に渡る！」

そうエマが言った瞬間、レイは目を見開いた。

やっぱりノーマンはすごいや。

諦めてた私と、自分自身を利用したノーマン。

この差は埋められることはない。

初めにドンが渡り、次々と仲間は渡っていく。

信じていたのにも関わらず、この光景に私も驚かされた。

ノーマン、私やったよ。

ようやく自由になれるんだ。

もう誰の死ぬ姿を見なくてもいい。

エマはすごいよ、ノーマンの意志をしっかりと継いだ。

エマならできると……無茶で無謀で真っ直ぐなエマだからこそできるんだとノーマンは分かってたから。

私じゃダメ、レイでも、ドンでもギルダでもダメ。

レイを驚かせられたし、私にも意志ができた。

見ていてよ、まだまだこれからでもあるんだから。

「次は……ってもうあと6人ね。」

順調かつ早く。

でもそう簡単にいくほど世の中は甘くなかった。

私も渡る準備をしていると弱々しくつぶやく声が聞こえた。

ジェシマだ。

ジェシマ「ごめんなさいごめんなさい。下が崖だって思ったら……もし落ちたらどうしようって……。」

悪循環の歯車が動きそうになった。

私の横ではトーマとラニの顔は青ざめていく。

そのとき、レイは動いていた。

ただ考えていた私とは違ってジェシマを抱き上げた。

「大丈夫、大丈夫だ。一緒に渡ろう。」

やっぱり私は未熟者だ。

けど未熟者なりにもできることはいくらでもある。

「ラニ、トーマ。もしかして怖い？」

ラニ「だ、大丈夫だ！」

トーマ「怖くなんてないから！」

「そう、良かった。」

2人を見届けて、私はエマに言った。

「信じるってすごいね。」

エマ「A…。」

私たちは素早く渡った。

すぐ後ろを振り返ればママがいた。寂しそうで悔しそうで、嬉しそうで。

さよならママ。

私たちは懸命に走り続けた。

自由の喜びと過酷さを交えながら。

「最初の朝だわ。」




2046年1月15日

グレイス=フィールド農園(ハウス)より15名脱走

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