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Ki
電車を降りて学校に着く頃には、俺の体に移った藤ヶ谷の香りが少しずつ消えていた。
同じ香水なのに、違う香りがする。
優しくて大人。藤ヶ谷の内面から溢れるものなのか、香りさえもそんな雰囲気を漂わせる。
久しぶりだった。
藤ヶ谷と一緒。しかも抱きしめられたまま。
あんなに長い時間、あんなに強い力で抱きしめられたのは初めて。
ああ、やっぱり好きだって思った。
諦められたなんてただの思い込みだと気づいた。それともう一つ気づいたことがある。
一人の電車がやけに苦しかった理由。
正直気づきたくなかった。
諦められない想いにも、一人の電車が苦しい理由にも。俺にはやっぱり藤ヶ谷が必要なんだって、痛いほどわかってしまったから。
今まで藤ヶ谷に守られて電車に乗ってたこと、守られることに慣れてたこと、藤ヶ谷のそばにいることが何より幸せなこと。
気づいたら欲しくなる。
藤ヶ谷に彼女との登下校を勧めた自分を恨みたくなる。自分の時間を削ってでも、藤ヶ谷と彼女が過ごせる時間を増やした自分が嫌いになる。
ああ、ダメだ。
こんな醜い気持ち、知られたくない。
「ミツ、おはよ。」
「玉ちゃんおはよ…。」
「どうした…？元気ない？」
すっかり仲良くなった玉ちゃんが、俺の顔をぐっと覗き込む。
綺麗な顔してるな。焼けてなくて真っ白。なんだか儚くて、知らぬ間に消えてしまいそうな不思議な魅力を持つ玉ちゃん。
ふわふわしてて優しくて、でも芯があってかっこいい。
たとえ男でも、これだけ綺麗でかっこよければ、藤ヶ谷が好きになったりするのかな。
「…玉ちゃん、かっこいい。」
「…へ？」
「羨ましい、かも。」
「どうしたの？急に。」
「うーん、なんでもない。」
ヘラって笑って誤魔化したけど、笑えてたかはわからない。
続く (更新停止中)
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じゃがいも(プロフ) - なのはさん» なのはさんこんばんは、読んでいただきありがとうございます。もどかしい二人が書けるように意識していたので、お褒めの言葉とても嬉しいです！これからも頑張ります！！ (2018年8月23日 0時) (
レス) id: a8c069ecca (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - こんばんは、いつも楽しく読ませていただいてます^ ^このもどかしい甘酸っぱさが素敵ですこれからも更新を楽しみにしてます (2018年8月21日 23時) (レス) id: 952d1e1bb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じゃがいも | 作成日時：2018年6月6日 22時
