はりつく

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F


ねぇ北山、
好きな人いるの？

言ったじゃん。
好きな人できたら教えてって。









今日は朝から北山と買い物に出かけて、さっき家に帰ってきた。
香水が欲しいって言うから俺と同じ香水を一緒に買いに行った。

お揃いの香水を買った北山はすごく嬉しそうだった。帰り道ちらっと見た北山の小さくて可愛い右手は、ぎゅっと握られていて、俺も自然と笑顔になった。





笑顔だったのに。

なんで。北山なんで？

今までの北山は、好きな人や恋人の存在を聞いても「いない。」と言った。

告白されても誰とも付き合わないから、勝手に安心していた。




知らなかった。
好きな人、いたんだ。

でも告白してないんだ。
優しくてモテる人なんてたくさんいて誰のことかはわからないけど、北山に好きな人がいると聞いただけで気が狂いそうだ。

それなりに覚悟はしてきたつもり。
もう高校生だし、彼女ができることは十分にあり得る。


北山は、自覚がないけどすごくモテるから、時間の問題だと思った。

でも誰に告白されても誰とも付き合わない北山を見て、恋愛に興味がないと思っていた。









でも違った。
好きな人がいる。
でも俺に誰か教えてくれない。

あんなあからさまにあたふたして、好きな人が誰か聞かれたくないんだなって思った。
何年も前から幼馴染だからそれくらいわかる。聞かれたくない。教えたくない。そう思ってる時の顔。北山わかりやすいし。





ちゃんと応援できるかな。

それより、なんで教えてくれないの。

好きな人、できたら教えてって言ったのに。

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