はりつく

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Ki


タイプ…。

難しいな。
俺の好きな人は藤ヶ谷。
藤ヶ谷しか好きになったことがない。



じゃあ、タイプは藤ヶ谷？

俺のタイプは藤ヶ谷？







「…北山？どうした？」

「…え、あ、俺、どんな子がタイプかわからない。」

「…んー、じゃあ今まで好きになった人いる？」







いる。
一人だけ。






「…いる。」

「…えっ、」

「え？」

「いるの？」


心の中で言ったつもりだったのに、声に出てたなんて。
どうしよう。それは誰って聞かれても答えられないのに。









「…えっと、その、なんていうか…。」

「言いたくないなら大丈夫だよ。無理矢理聞いたりしない。そんなに焦らないで。」


焦ってうまく言葉が出てこない俺を落ち着かせるように、優しく、ゆっくり微笑んでくれる。

好きだな。好き。

言ってしまいそう。いや、言いたい。

でもダメ。


「その人はどんな人？」

「…好きな、ひと？」

「うん、どんな人？」


…藤ヶ谷は優しい。かっこいい。
困ってたら当然のように助けてくれて、でも全然気取ってなくて飾らなくて。
いつもそばにいるけど、日に日にかっこよさが増して最近は色気が出てさらに女の子にモテて。

近くて遠い。


「…優しい。」

「優しい人？」

「うん、優しくて、モテる。」

「そっか。告白した？」


俺はとっさに首を振った。
好かれるため頑張ると決めたけど、
告白は怖い。


「その人のこと今も好き？」

「…うん。」

「俺、北山に告白されて嫌がる女の子いないと思うよ。」

「…そんなことないよ。」









女の子…。
俺の好きな人は男。
俺の好きな人は藤ヶ谷。

でも藤ヶ谷は、俺の好きな人が女の子だと思ってる。

当たり前か。



まさか自分が幼馴染に何年も片想いされてるなんて思わないよな。

わかってたことだけど、やっぱり辛い。
頑張るって決めてけど、胸が苦しい。


右手に力が入る。

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