【黒執事】女王陛下の意のままに (ページ10)

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9.会話ページ10

「ファントムハイヴ伯爵、アーサー様、お話宜しいですか？」

Aは、部屋の隅の方にいたシエルと眼科医兼小説家のアーサーに笑顔で話しかけた。

「あ、は、はい！どうぞ！」

Aの方が年下のはずだが、アーサーはビクリと肩を震わせ、自分の隣の椅子を指した。

Aはそんなアーサーにクスリと笑って言った。

「随分と緊張なされているのですね。私など、爵位も持たぬ者ですので、お気になさらず」

Aは椅子には座らず、立ったまま会話を続けた。

「あ、あの…？」

椅子に座らないAにアーサーは首を傾げる。

「いえ、立ったままで結構ですよ。そこに座ると、三人では話しにくいでしょう？」

Aはグラスの中のワインを一口飲んだ。

「あ…！そ、そうですよね！」

頭を掻くアーサーにAは笑顔を向けた。

会話だけ聞いていると、アーサーの方が年下のようにも思えてくる。

「ファントムハイヴ伯爵」

それまで黙っていたシエルにAは声をかけた。

「先程は大変感心致しました。ミカエリス様も見事なパフォーマンスで」

Aはいったん言葉を止めてから言った。

「----人間ではないとまで、思ってしまいますね」

Aのその言葉を聞いたシエルは、眉をピクリと動かした。

Aはそれを見逃さなかった。

「…そんなことないですよ。ファントムハイヴ家の執事として、あれは当然の事をしたまでです」

シエルはにっこりと笑った。

「へぇ…そうなんですね」

そう頷いたAの目は、笑ってはいなかった。