2.ジョンと貴女 ページ3
「……?」
女王の秘書武官であるAは、辺りを見回した。
「どうした、A」
それを不審に思ったジョン・ブラウンは彼女に尋ねる。
Aは、肩まで伸ばした髪を揺らし、振り向いた。
Aの瞳は、ジョンのゴーグルを捉えている。
「…グレイとフィップスは?」
ジョンは、ああ、そのことか…とAに歩み寄る。
コツコツ、という硬い靴音が廊下に響いた。
そして、誰にも聞かれないよう、ジョンはAの耳元で小声で言った。
「あの二人は例のスパイの始末に行った」
Aは僅かに身体を離し、ジョンの目を見る。
実質、目は見えないためゴーグルの、恐らく目があるであろう辺りを見つめた。
「…フランスの?」
Aの問いにジョンは頷いた。
「そう。なら、いい」
Aはそれを聞くと歩き出す。
あっさりとした態度にジョンは密かにため息を吐いた。
「何かあったのか?」
ジョンがAを追うように歩き出すと、コツコツ、と廊下に二人の足音が響く。
「別に…大した用じゃないよ。ファントムハイヴ伯爵の事で、少しね」
ファントムハイヴは、女王の番犬で、英国の裏社会の規律を破る者を始末するためにある。
現在は、13歳のシエル・ファントムハイヴという幼い子供が伯爵となっているわけだが、なかなか賢く、先代のヴィンセント・ファントムハイヴ伯爵と同等ほどの働きをしている。
そのファントムハイヴ伯爵の件についてーーーー…
ジョンには心当たりがあった。
「誘拐疑惑のかかっているサーカス団か」
その件については、ジョンもヴィクトリア女王から聞かされていた。
「そう。シエル・ファントムハイヴ伯爵の監視。それを、私とグレイとフィップスとジョンで行く」
ジョンは彼女を見据える。
相変わらず無表情で、何を考えているのかわからない。
けどーーーー
「面白そう、か?」
考えていることは、長い間一緒にいた幼馴染みとして、だいたいはわかった。
「うん」
ジョンには、彼女が微かに笑ったように思えた。
159人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有紗 - 更新頑張ってください! (2015年1月13日 23時) (レス) id: 7f54a8456a (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 更新待ってます!! 続きが気になります(´艸`*) (2015年1月1日 17時) (レス) id: 3ecfed2619 (このIDを非表示/違反報告)
鈴猫(プロフ) - 続きが見たいですね (2014年12月8日 14時) (レス) id: b7cabe5847 (このIDを非表示/違反報告)
鈴猫 - 頑張って下さい (2014年12月7日 15時) (レス) id: 32a5f43a7b (このIDを非表示/違反報告)
まりん - 続きが気になります!更新頑張ってください! (2014年11月8日 23時) (レス) id: 07cfa5ac65 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まるまるまるま | 作成日時:2014年3月12日 22時