【黒執事】女王陛下の意のままに

18.保険 ページ19

「----…保険が欲しいな」


グレイがぽつりとつぶやいた。


「保険？」


アイリーンが意味を理解できず、聞き返す。


「ボク達が生きて帰れる保険だよ」


グレイは目だけを動かし、アイリーンを見た。


「それは…どういう意味です？」


まだ理解できていない様子のアイリーンに、グレイは説明を始めた。


「…だってココは、殺人犯が支配する屋敷なんだよ？そして嵐が止むまでボクらはここから出られない。嵐が止む前に全員“口封じ”されたらどうする？」


グレイのその言葉に、ざわめくアイリーン達。


「あ。じゃあさー、監 禁しちゃおーよ。監 禁！」


劉がその場に合わぬ明るく軽い調子の声を出し、人差し指を立ててネッ、と言った。


「監 禁！？坊ちゃんを！？」


当然使用人達はすんなりと納得するはずもなく、驚きの声を上げた。


そんな使用人に劉は当たり前のことを当たり前のように言った。


「だって怖いもん」


確信のない状況で、12歳の少年を監 禁する気なのか。


アイリーン達はそう思ったが、口には出さなかった。


確信はなくとも、シエルにはアリバイがなかった。


シエルが犯人の可能性が高いことを理解し、シエルの監 禁にも口を出さなかった。


否、出せなかった。


先ほどのグレイの言葉が効いたのであろう。


「…それで気が済むなら好きにしろ」


シエルはため息を吐くと、すんなりと了承した。

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