【黒執事】女王陛下の意のままに (ページ18)

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17.理由ページ18

グレイの言葉を合図に、全員の視線がシエルに集まった。

「失礼ですが伯爵、その時間は何を？」

「…！」

改まる劉のその聞き方に、シエルは不快感を抱く。

今、シエルは容疑者だ。

「確かにアリバイがないのは僕だけだが、僕には卿を殺.す理由がない」

「え～？ホントにィ？」

劉の次にグレイの疑いの言葉がかけられた。

「…何？」

劉の時よりも更に強い不快感を感じたシエルは、軽くグレイを睨んだ。

「確かに理由がないってことはないかもね。人が人を殺.す理由など、他人が思いもよらない理由がほとんどだ。人間の心理なんて、天才学者がどれだけ研究を重ねても他人ではわからないものだよ」

悟ったように語る劉に、今度はAが不快感を抱いた。

言ってることはその通りだが、なにかモヤモヤとする。

そんな感じだった。

「それに君の会社、確かドイツに支社があったよね？その国の大手銀行役員である彼と何か書類上(かみのうえ)で、モメ事があったかもしれない。我々には預かり知らぬことだけどね」

劉はまるでシエルが犯人だと言うかのような口ぶりで言う。

「僕のファントム社が“こげつき”でもしていると？馬鹿げてる！」

シエルは苛立った様子で劉に言った。

そんなシエルを劉はさらに挑発した。

「なくもない話でしょ。どんな大きな会社でも一晩で“なかったこと”になるご時世なんだしさ」

“なかったこと”になる…

Aは劉の言葉に疑問を抱いた。

まるで知っているかのような口ぶり…

「まっ待ってください！！」

そんなAの思考はフィニアンによって遮られた。

「難しいことはわかんないけど、でもっ坊ちゃんがそんなことするワケ、」

「フィニ。いい、下がれ」

シエルが言うと、少々納得いかない様子はあるものの、大人しく下がったフィニアン。