【黒執事】女王陛下の意のままに

10.眠気 ページ11

「------あれ？ジーメンス卿寝ちゃった？」


グレイが隣のジーメンスに目を向けた。


そのグレイの前のテーブルのところには、飲み切ったジョッキと、ワイングラスが積んであった。


そして何気に小さなグラスタワーができている。


「そうみたいですね…」


造船・海運企業ブルー・スター・ライン社貿易課取締役員のパトリック・フェルペスが安心したように呟く。


ジーメンスの行動にハラハラしていたからであろう。


「セバスチャン、卿をお部屋にお連れしろ。僕も下がる」


眠そうなシエルは、立ち上がった。


「申し訳ありません。僕も先に失礼させて頂きます」


眠気に勝てなかったのか、シエルは下がることを告げた。


セバスチャンは寝ているジーメンスを背負った。


「あれっ、伯爵もう寝ちゃうの？」


上海の貿易会社「崑崙」の英国支店長の劉が意外、とでも言うかのように声をあげた。


「僕のような子供はもう寝る時間だ。あとは皆様でごゆっくり」


シエルはそう言うと、部屋から出ていった。


「……」


賑やかさが再び訪れた中、グレイはシエルが出ていった扉を見ていた。


そして、そんなグレイを、Aは見ていた。

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