褪せる夢ばかりばらまいて【虎杖悠仁】 ページ9
私の人生は幸福だけど、無知でもある。
ある程度の不幸は知っているけれど、死にたいぐらい不幸せになったことはない。
それはきっと大して生きていないじゃない、と言われるようなこと。
だから悠仁が正しい死を求めるのなら、私は不幸を探そう。
それはきっと悠仁が正しい死を見つけた時に気付くはず。
今のうちに予想しておこう。
そして願掛けもしておこう。
なるべく遅く死を見つけますように。
正しさなんて幸せと比べてしまえば、どちらの天秤が傾くかなんて明白だけど、でもずっとずっと幸福に傾きますように。
本当はね、私が死んじゃった後に見つけて欲しいの。
でもね、それじゃ悠仁があまりにも可哀想だから。
不幸になるのは私だけで良い。
私の記憶の中で悠仁は、笑って泣いて、眠って食べて、愛し合って。
セピア色の写真みたいに綺麗だけど、瞬間を切り取りすぎて色が鮮明じゃない。
彩るのは私じゃない。
でもね、きっとこんな妄想重いって笑われる。
ともかく、悠仁が幸せでありますように。
私の人生の幸福をぜんぶあげるから、きみの正しい不幸をぜんぶ頂戴。
私はいくらだってあげる。
対等がいい。
愛し合えたら、色なんて関係ない。
私が悠仁を幸せにしようなんておこがましいから、幸せばかりをねがっている。
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ぱりす(プロフ) - 匿名希望さん» コメントありがとうございます、身に余る言葉です! (2021年1月16日 21時) (レス) id: be542bd55e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - 文才が溢れ出ていて読みやすい。好きです (2021年1月16日 20時) (レス) id: 56187da194 (このIDを非表示/違反報告)
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