花結び ページ7
抵抗はしなかった。
幽谷の服ははだけ、伏黒はそこに何度も痕を残した。
彼女を犯したい訳じゃなく、ただ愛を確かめるように、首に、胸元に、何度も何度も痕を残した。
その痕が消えたって良かった。
嫌われたって、いっそその術式で捻られたって良かった。
愛してあげたいという感覚が今、こんな行為をさせている。
所謂、獣と変わりないのに止まることができなかった。
「好きです、先輩が、貴方が好き」
「伏黒…痛いよ」
「痛いのは俺だってそうだ、先輩のことで俺だって痛い」
「伏黒の痛んでいるのは心でしょ、伏黒…私は体痛いよ」
「俺はどっちも痛い、あんたを愛してるから、余計痛い」
「あんたが痛くないことで痛い、歪んでるんだよ、俺が1番」
抵抗してくれれば良いのに。
どうせ俺より強いくせに。
「あんたを独り占めしたいんだ、汚いんだよ、俺は汚れてる、歪んでる」
「…いいよ、汚れていてもいいよ、伏黒がいい」
耐えられなくなって幽谷の肩に強く噛み付いた。
ああ、こんなのはけだものだ。
「伏黒が汚れていて良かった」
「あなたが歪んでいて嬉しい」
「私だって汚れているのに」
再び見た彼女の瞳の中での自分は歪んでいた。
水の柔い膜が張って、そうしてこぼれる。
まるで恋みたいな愛だった。
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