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普段は静かな城下町,だが,今日はその様子が違っていた。
「魔法帝が帰って来たぞォー!!」
また,ある人は言う。
「今回も魔法騎士団を率いて侵略軍は返り討ちにしたそうだ」
「我らが英雄''魔法帝''バンザーーーイ!!」
皆,そう声を上げる顔は喜色に溢れている。英雄,である魔法帝を間近に見ることができるのだ。それは,それは嬉しいことだろう。
ワァァァァ,と歓声をあげ,中には昼間だというに魔法で花火を打ち上げる人までいた。
そんな様子は,遠く,遠く離れた辺境の村にまで伝わってきた。
「今日は王都がやけに騒がしいなァ?魔法であんなに盛り上げて」
辺境の村,ハージでは,その騒ぎに農作業する人も手を止める。事情を知らぬ人は,不思議そうにその騒ぎを見つめていた。
「魔法帝が凱旋したらしい!」
些か,興奮した様子でもう一人がそう告げる。
「おぉ!魔法帝が...!」
事情を把握した,不思議がっていた方も,その顔を嬉しそうに変えていた。
チラ,と見たいものでもあったのか,農民は後ろを振り向く。
すると其処には,一人の青年のよく,精巧に作られた像,
「この国がこうして存在するのも,代々の魔法帝のお陰だ...!」
そして,その下には,その像とは比べ物にもならぬ程に大きな''魔神''の頭蓋骨の骨が鎮座していた。
「いつか魔法帝になって
_______アナタを幸せにしまァァァす!!!」
城下町とは違い,長閑な村,ハージだったが,その中に,その空気を壊す,様に大きな声で愛を告白をするものがいた。
「んな!?」
「また教会の小坊主か」
呆れた様子で,そう割り切れる程に,声の主は何度もあの大声で出しているのだろう。
愛の告白をする声の主は,さして周りを気にすることなく言葉を続ける。
「だからオレと,結婚してくださぁーーい!!!」
ずりゃぁぁぁ,とでも効果音がつきそうなほどに,勢いよく,声の主 .. いや,教会の少年は,その教会のシスターである女性に告白した。
それに対し,シスターの返しは手厳しく,
「ごめんねアスタ,私はみんなのシスターだから...」
「!!」
少し苦笑いをしつつ断ったシスターに,粉砕!とばかりに倒れそうになる,アスタと呼ばれた少年。
「まだだあーー!!!」
「えぇっ!?」
そこから,痺れを切らしたシスターに魔法を使われ,更には兄弟のような涼やかに少年に止められる。
これが,教会の日常である。
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作者名:竜胆 | 作成日時:2022年3月20日 8時