想い ページ5
眠れない夜はASMRと占ツク、これは世の常です。
幼女の求婚事件から数日。兵士長室の窓辺には、見慣れない花瓶と小綺麗に手入れされた花々が飾られていた。
「リヴァイ、居る？この資料の確認…あれ。あの花、ちゃんと飾ってるんだねぇ」
「ノックくらいしろ…それとニヤニヤ見るな刹すぞ」
容赦ない刹意を向けられても、ハンジは眉ひとつ動かさない。
「手厳しいねぇ。それにしても…森の中に花畑はあるけど、頑張って摘んだんだろうね。この黄色くて可愛いのはサンビタリアかな＿＿こっちはサルビア＿＿これはモミジアオイ？ふふ、綺麗。わぁ、よく見たら四葉のクローバーもいっぱいだ…！彼女、案外本気かもよ？」
「てめぇはよく喋るな…」
「当たり前だよ、君の未来のお嫁さんでしょ？ふむ、あとはアカツメクサとエンレイソウかな…随分と花言葉に拘って作ったと見える」
「やけに詳しいじゃねぇか」
「気になるなら調べてみなよ、花言葉」
その場では興味がある素振りは爪の先程も見せなかった。余計に揶揄われるからだ。
が、仕事が終わった後、図書館に行って図鑑をめくってみた。
(本当に、どうかしちまったのか)
(こんな物を調べて…嬉しくなるなんざ)
あり得なかった、彼女を知る前の自分なら。
それからというもの、非番の日には外を歩き回る事が増えた。何処かであの曇りの無い眼に出会える事をそっと期待して。
(会える訳が無いのにな)
俺も随分馬鹿になったものだと、自嘲しながらも足を止められないでいた。
その時である。
「あ、へいちょうさんだ！またあそびに来たよ！」
「＿＿A？」
「そうだよ！覚えててくれたんだ…」
嬉しいけど何だか恥ずかしいな、と続ける彼女に、何やら胸の奥が温まるような感覚を覚えた。
先程からこれは一体何だ。
一旦この奇妙な暖かみには蓋をし、気になっていた事を尋ねることにした。
「親は居ねぇのか」
「いるよ、すぐ近くでおかいものしてる」
「そうか…」
「あらA？その人は？」
「この前、花を渡していた人かな？」
丁度良い頃合いで、両親らしき人物が現れた。二人とも、見た目に彼女の面影を濃く映していた。
「うん、へいちょうさんだよ。わたし、将来はへいちょうさんとけっこんするの！」
「まぁ…」
「すみませんねぇ、うちの娘が」
赤面する母と、謝りながらもニコニコと笑う父。心の底から娘の成長を喜ぶ様子が窺えた。純粋さも遺伝か。
悪くない。
また、そう思った。
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あーる(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！！！！！まだまだ序盤ですが更新コツコツ頑張ります🥹 (12月16日 21時) (
レス) id: 4a598cc49e (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - やっぱりあーる様の作品はめっちゃ面白いです！ (12月16日 21時) (レス) @page4 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーる | 作成日時：2023年12月15日 15時
