純真と羨望 ページ3
第五十七回壁外遠征を終え、生き残った調査兵団の面々は束の間の平穏な時間を享受していた。
それは人類最強たる彼も例外ではなかった。本日、調査兵団上層部は、先の遠征後の憲兵への報告のため、ウォール・シーナ内地に向かった。
「豚共の根城か…気に食わねぇな」
上層部の一員、リヴァイの腐れ縁であるハンジが答える。
「君の憲兵団嫌いは相変わらずだねぇ。どうせすぐ終わる任務だし、良いじゃないか」
「それとこれとは＿＿」
別問題だ、と言いかけた時であった。何やら視線を感じる。普段の調査兵団が向けられる訝しげな目ではない、もっと純真無垢な＿＿言い表せば、羨望にも似た＿＿そんな目であった。
辺りを見渡すが、目線の主は隠れて出てこない。
気の所為かと、一行は歩を進めた。
しかし、視線は着いてくる。彼らの歩みに合わせて、その純粋な色を崩さずに。
「一体何だ…」
今度は調査兵団団長、エルヴィンが答えた。
「確かに先程から視線は感じるが…敵意は全くと言っていい程無い。放っておけ」
「気になるものは気になるだろうが…」
「一度見に行ってみたらどう？も・し・か・し・て！この眼差しは…私達のファンかもしれないし〜！」
「訳の分からない事を言うな…仕方ねぇ、一度確認してくる」
「いってらっしゃーい」
目線を辿り、煉瓦造りの建物の裏を覗き込む。
と、そこから幼い子供がひょこっと顔を出した。
年齢にして七、八歳であろうか。金に近い茶色の髪に、同じ色の大きめの瞳。目の奥の輝きに吸い込まれそうだ。
一丁前に纏めた髪の後ろで、紺のリボンがふわりと揺れた。服装はごく普通だが、シャツの胸元にも小さな紺のリボンがあり、目を引いた。
唐突な幼女の登場に、兵士長の態度も少し柔らかくなる。
「あ、あの…これは、」
「コソコソしやがって、どうしたんだ」
「ええっと…その」
「別に取って食いやしねぇよ。怯えるな」
「あの…へいちょうさん、で合ってますか？」
「そうだが」
「えっとね、あたしはA＿＿」
幼女は何やらもじもじしながら、背中に回していた手を胸の前に持ってきた。その手には、色とりどりの花を握りしめていた。リヴァイの目を見上げ、花束を差し出し彼女は言った。
「へいちょうさん…けっこんしてください」
リヴァイの頭の中を、ハテナが埋め尽くした。
Aちゃんが気弱なのは人見知りではなく大好きな兵長の前だからです(上手く性格描写出来ない言い訳)
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あーる(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！！！！！まだまだ序盤ですが更新コツコツ頑張ります🥹 (12月16日 21時) (
レス) id: 4a598cc49e (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - やっぱりあーる様の作品はめっちゃ面白いです！ (12月16日 21時) (レス) @page4 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーる | 作成日時：2023年12月15日 15時
