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結局、加州に気を使われてしまった。

かなり昔からこの本丸にいる加州には、自分の気持ちが大体見透かされている気がする。
彼は元々、人の心を読むのが上手い。だから尚更しっかりと読まれてしまうのである。

にしても、こんのすけに対しての愚痴からかなり話が飛んだものだ。
いきなり大和守があの人のことを尋ねてくるから驚いてしまったが、長年ひとりで溜め込んでいた思いを打ち明けることが出来て、実際のところかなりすっきりしている。

あの人のことを知っているのは本丸の約十分の九。
とは言っても、勿論全員が同じような情報を持っている訳ではない。
話に聞いただけだという連中もいれば、一緒にその時を過ごしていたという連中もいる。
まだこの事を少しも知らないのは、かなり後から本丸にやって来た刀剣男士と、寿と、A。
いずれは話すことになるのだろうが、それは今起こっているゴタゴタが過ぎてからだ。

昔を思い出して物思いにふけるのは後回しにしなければならない。
とは言っても、いつまでも変わらないのはやはり自分である。


先程から、涙が止まらない。


過去に囚われない生き方なんて、出来るはずがない。
加州は泣きかけていた自分を案じて部屋から出してくれたのだ。
大和守は昔からこの本丸で生活しているが、持ち前の鈍感さで自分の気持ちに全く気付いてくれていない。まあそれはそれで構わないのだが。


それで、寿はいつ帰って来れるのだろうか。
毎日そればかり考えているが、帰れる目処は未だ立っていない。
迎えに行こうにも、監視役が付いてしまえばそれも出来ない。
あちらはあちらで頑張ってやってくれているが、ただひとつ気掛かりなのはやはり寿のストレスである。

審神者の資格を停止された時は、電話越しの会話さえ出来ないほどにショックを受けていた。
今は元気に働いていると言うが、果たしてそれは本当のことなのだろうか。

寿はひとつの後悔をずっと引きずってしまうタイプの人間だ。
その後悔が何重にも重なってしまえば、それはどんどん足枷となってついて来る。

しかしそれは一概に悪いこととは言えない。
それほどの責任感を持つことは非常に大切だ。
恵まれない環境で育ちながらもそれを克服して、今や立派な審神者になっている。
それも、自分より優れているくらいに。



だから僕はまだ、彼を弟子とは認められない。



彼の師匠を名乗れる程の実力を身に付けるまでは。




〜追記〜

私立入試終わりましたん

突然の回想ェ…

30☆寿視点☆→←28



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設定タグ:刀剣乱舞 , とうらぶ , 女主   
作品ジャンル:アニメ
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りなほ@受験生(プロフ) - ありがとうございます(`・ω・´)私自身青江クラスタなのでそう言って頂けるとホントウレシィ… (2016年12月18日 0時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
腐り始めた豆腐 - ↓青一江じゃないです。アオーエです。 (2016年12月17日 20時) (レス) id: 20ecaa2ed9 (このIDを非表示/違反報告)
腐り始めた豆腐 - もう……本当にこの小説大好きです(笑)寿も東も夢主も大好きだぁー!!東の本丸の青ー江が好きすぎる。更新楽しみにしてます! (2016年12月17日 20時) (レス) id: 20ecaa2ed9 (このIDを非表示/違反報告)
りなほ@多忙(プロフ) - この話は割と寿中心なのです( ˇωˇ )トラブルメーカーェ…グラサンは大爆笑でした (2016年11月1日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
白鶴(仮)@プリンは犠牲になったのだ - 寿…お馬鹿さんですか、お前は……  グラサンwwそういやそうだったwwwww (2016年10月31日 14時) (レス) id: 064ce5e387 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そると | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年9月19日 21時

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