三分で顕現したのは平成の一般人だった【刀剣乱舞】

現実はご健在 ページ14

Aは、もうショックのあまり考えることを放棄してしまった。
と、ここで審神者が眉間に皺を寄せて言う。


審神者「あ、ところで…さっきまでの事覚えてる？」

貴方「さっき…？」


そういえば。
ご飯の後風呂に入って…
獅子王と浦島のテロに遭って…

そこから…


Aは、ふと思い出したくない黒歴史を思い出してしまった。




〜三十分前〜




貴方「うわああああ!!!いっぺん死ねええええぇ!!!」


Aは裸のまま、死に物狂いで包丁を握って振り回し始める。

そう、裸のまま。


浦島「ご、ごめ…痛っ！助けてえぇ！」

獅子王「浦島！おおお落ちつけA！そういうつもりじゃ…うわああ!!」


Aの包丁は二人の生身を掠めていく。
包丁はAと同じように返り血で汚れていた。
叫び声を聞き付けたのか、向こうから足音が聞こえてくる。人数は五〜六人くらいか。

案の定やって来た審神者はスパァン！と扉を開け放った。


審神者「どうしたの!?大丈夫!?一体何…が…」


審神者が見たもの。


それは、体中傷だらけになって逃げ回る獅子王&浦島と、

全裸になって二人を追いかける、女体のAの姿だった。


貴方「…あ」


Aは、審神者が卒倒した音で我に返る。
扉のすぐ近くには、あんぐりと口を開けた山姥切国広、鶴丸国永、鶯丸、一期一振がいた。


鶴丸「…こ、こりゃ驚きだぜ……」


…もしかして、これ私かなりマズい事した？

顔を引きつらせた鶴丸の一言に、突然Aは羞恥心を覚え、膝を抱えてその場でしゃがみ込む。

色々と察してくれた山姥切は、自身の被っていた布を取ってAに近付くと、体全体が隠れるようにそっと覆った。

しかしAの頭は既にパンク状態。


貴方「…うわあぁぁああああ!!!!ぎゃあああああああ!!!!」


Aは奇声を発しながら、後ろの奴らが止めるのも気にせずに部屋から飛び出す。

布を被って叫びながら廊下を駆け抜けるAを、一体何人の刀剣男士が目撃しただろうか？

その直後、自分で気を付けなければと思っていた、傷んでいる床をつま先で踏み抜いた。
そのままAはバランスを失い、目の前の部屋へと華麗にヘッドスライディングを決めた。扉をぶち破って。

床をする〜っと滑走(秒速約五m)したのち、茶や菓子が乗った机の角に頭をぶつけ…


〜


で、今に至ると。



審神者は何とも言えなさそうな、とてつもなく複雑な顔をした。

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