突然現る白い奴 ページ32
貴方「…!」
Aはガバッと起き上がった。
寝かされていたらしく、体が布団に包まれている。
そして、目を覚ました部屋は薄暗かった。
ここどこ?
ひょっとして、もう日暮れた?
鯰尾と骨喰に手合わせ頼んでるんだけど、まさかドタキャンになっちゃった?
…と、いうように思考を巡らせていると。
ぱさ、という音と共に何かが頭の上に落ちてきた。
手に取ってみると、それは羽根の部分に『開け』と書いてある折り鶴。天井を見るが、板と照明以外何も無い。
なんだこれ…と思いつつ、折り鶴を広げる。
広げられて正方形の紙に戻った元折り鶴には、こう書いてあった。
『上を見ろ!』
その文字通り上を向いたその瞬間。
突如白い塊が、天井の板もろとも降ってきた。
白い塊は板を宙で掴んで、華麗に着地を決めると高らかに言い放つ。
「どうだあっ!!!驚いたk」
Aの右ストレートが、落下してきた鶴丸国永の顔面に突き刺さった瞬間だった。
***
鶴丸「ってて…流石に殴ることは無いだろう?」
貴方「るっせーやいビックリ糞ジジイ!!!」
いつもは白い左頬を赤く腫らした鶴丸は、呆れたように笑う。
なんだこいつ
心臓止まるかと思ったわ
寿命縮んだわ
鶴丸「ははは、すまんすまん。無防備だったものだから、つい襲ってしまった」
なんだこいつ
私ぶっ倒れたんだぞ
労われ
つか誤解を与えそうな表現やめい
貴方「ったく…そんなに退屈ぅ?」
嫌味ったらしく尋ねるA。
しかし鶴丸はそんなAに対し、自身の胸に手を当てて楽しそうに言った。
鶴丸「ああ、退屈だ。平安生まれのじいさんが悪戯して回る位にはな」
パワフルなジジイだこと。
悪戯なんて人を困らせるだけじゃないか。
そんなAの表情を読み取ったのか、鶴丸は眈々と続ける。
鶴丸「悪戯もそう悪いもんじゃないぜ?少なくとも俺は、驚いた奴の顔を見るのが好きでしているからな」
鶴丸はそこまで行って立ち上がると、襖を開けた。
隙間から入ってくる日光。
貴方「…あれ、明るい」
鶴丸「まあ十五分程しか眠っていないからな。お前の朝餉の残りはらっぷをして置いてあるぞ」
なんだ、十五分だけか、とAは安堵した。
眠気もとれたし、手合わせも出来そうだ。
と、ここで鶴丸が気付いたように言う。
鶴丸「おっと、馬当番だからそろそろ失礼するぞ。怠けると伽羅坊に説教されるからな」
鶴丸はへらりと笑うと、部屋から颯爽と出て行った。
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そこら辺の水溜まりの水@不味い水(プロフ) - 作品を読もうと画面を見るとグロ画像がありしょっぱなから精神を抉られた、慰謝料を寄越せ (2018年5月12日 21時) (レス) id: 30224d1d1f (このIDを非表示/違反報告)
りなほ@多忙(プロフ) - 御影さん» 包丁藤四郎!?そんな刀があるのですか…知りませんでした((((;゚Д゚))))大丈夫です、なっちまってません← (2016年9月22日 21時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
御影 - 先日徳川美術館で見てきた包丁藤四郎を思い浮かべてしまいましたよ(^-^;一応この話自体は簡潔してるみたいだしこれから読み始めるところなので(←おい)あり得ないでしょうが包丁藤四郎になっちまってるのかなぁー、と妄想しました! (2016年9月22日 17時) (レス) id: a473325dfe (このIDを非表示/違反報告)
アヤミ(プロフ) - りなほ@多忙さん» なにこの会話!!めちゃ入りたかった!! (2016年2月9日 19時) (レス) id: dcc37d5cfe (このIDを非表示/違反報告)
りなほ@多忙(プロフ) - 綺羅さん» …続きはメールでしましょうねー (2016年2月6日 7時) (レス) id: a309352d54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りなほ | 作者ホームページ:
作成日時:2015年10月31日 13時