ラウンド28 ページ29
「ウソだろ…」
獅子王は気を失った青江の体を起こして様子を見る。
彼に目立った外傷はなく、ただ眠っているだけのように見えた。だがいくら揺り動かしても、名を呼んでも、青江は指先ひとつ動かさなかった。
そうだ、主。
一旦青江を廊下に寝かせておき、獅子王はAの部屋の襖を恐る恐る開けた。
そこでは、ごく普通の少女がごく普通に布団で眠っていた。
すやすやと寝息を立てて、頭を少し右に傾けて、布団から左手だけが出ていて。
「…何でだよ…何でだよ!」
思わず大声を出す獅子王に、Aは目を覚ました。
うっすらと目を開け、何が起こったか分からないといった表情のAを、獅子王はただ愕然と見ていた。
獅子王は、この少女に自然と恐怖心を抱いていた。
青江は一応、この本丸の刀剣男士の中で五本の指に入るくらいの実戦経験がある。そんな青江に一言叫ぶ間も与えず、それも全くの無自覚で気絶させるなんて。
もしかしたら自分がこの人に安心させられたのも、自分の精神に付け入って来たからなのかも…
そこまで考えて、獅子王はやっと我に帰った。
自分な何てことを考えているんだ。この少女を助けよう、と思ったのではなかったのか。簡単に怯んでどうするんだ、この大馬鹿者が。
そうやって自分を叱責していると、廊下から複数人分の足音と共に、膝丸と石切丸の声が聞こえた。
「青江!…石切丸、これは」
「私にも分からないけれど、多分…」
その声を聞いたAは、寝ぼけながらも戸惑った様子で獅子王に尋ねた。
「…な、何かあった?」
悟られる訳にはいかない。悟られたら終わりだ。
「えっと…あ、青江の奴がな!下戸なのに今の今まで飲まされててさ。ほら、昨日宴会だったろ?それで完全に酔っ払って、自分の部屋と間違えて主の部屋に入ってったんだよ」
「あ、なるほど…」
「そんで、酔い過ぎだろって一発ぶん殴ったんだ。そしたらパタッと寝ちまいやがった。当分は起きねーだろうな」
言い訳を一言紡ぐ度に良心が痛んだが、この人を守るためだと考えると、するりするりと誤魔化しの言葉は口から出て来た。
案の定Aは納得したようで、口の中で何かむにゃむにゃ言ったかと思うと、すぐにまた眠ってしまった。
〜追記〜
\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!
お陰様で三途の川リターンズ殿堂入りしました!ありがとうございます✨
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そると(プロフ) - ナツカさん» 一応この物語は完結したら少しいじってpixivの方にも載せたいと思っております!最後になってしまいましたが、これからも楽しく、張り切って書かせて頂きますのでよろしくお願いします♪ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ナツカさん» うわああああこんなに褒めて頂けるとは…(´ノω;`)ウレシイ…!!!大体の結末は考えていますが、自分は気分屋なので今とはガラッと変わるかもしれませんね( ˇωˇ )あと現在はもう受験を終えて高校一年生やってます…紛らわしくて申し訳ありません(汗)→ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 長文、大変上からの無礼な感想誠に失礼いたしました。ただ、是非完結まで追いたいです。占ツクをやって3年近くたちますが、1番と言っていい程楽しめる作品です。勉強との両立、大変だと思われますが、ご自愛のもと、どうかこの素晴らしい作品を書き上げてください!!! (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 先が読めなくて、主人公と刀剣がどう和解するのか、はたまたバッドエンドなのか、予想がつかず妄想が膨らみ大変ワクワクします。本当に、もっと評価されるべきです、何故HIT数がこんなに少ない……! 正直占ツクよりも、pixivなど年齢層の高い場所で受ける作品かもです (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - ギャグも、キャラをよく理解しかつ自分の中でキャラを動かせてるのだと思います。違和感なく楽しめます。受験生ということでしたが、高校3年生ですか? その年でここまで書けるのは、脱帽、尊敬に尽きます。結末までの構想は練ってあるのですか? 続きが気になります (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 18時