ラウンド21 ページ22
湧き始める周囲を眺めつつ、目の前に置かれている大皿の酢豚を小皿に取り、口に運んだ。
口の端から、ふう、と息が漏れた。
めちゃくちゃ美味しい。
「うめえだろ?」
先程飲み物を渡してくれた刀剣男士が、何故か肩のモフモフに向かって酢豚を差し出しながら話し掛けてくる。
「でもあの二人、酢豚作る時いっつも喧嘩すんだけどな。アレ入れるかどうかで…何だっけな…ぱい…ぱなっぷ…」
「パイナップル?」
「そーそれそれ!それで前抜刀騒ぎになってさー」
やだ怖い。何この食事に対してバイオレンスな本丸。酢豚のパイナップルでこんなになるんだったら、きのこたけのこ戦争でも勃発したらこの本丸は一体どうなるんだ。死ぬのか。みんな死ぬのか。
「何それこっわ…」
「まあよくあることだって」
よくあるんかい。
でも今日は入れなかったみてーだな、と言っているその肩で突然、モフモフが動き、ばくんと酢豚に食い付いた。
ただのファーマフラーかと思っていたAはびくりと肩を震わせて仰け反る。
「ひっ…!?」
持っていた箸を机の上に落として愕然とそのモフモフを見つめる。
モフモフが。
モフモフがうごいた。
酢豚たべた。
「ん?どうした?…ああ、こいつか。そういえば鵺見んの初めてか」
目を白黒させているAを見て笑いながら、その刀剣男士はそのモフモフを両手で持ってAの前に差し出して言った。
「こいつは相棒の鵺ってんだ。まあ簡単に言えば妖怪だな」
「へ、へぇ〜…」
「あ、俺は獅子王な」
今更ながらついでの様に名乗った獅子王は、Aに鵺を触ってみるよう促す。
勧められるがままに鵺に手を伸ばすと、モフモフの中から顔が出て来た。口の周りには先程の酢豚のたれが付いている。
「あー…結構可愛いかも」
「だろ!昼寝の時は枕に、冬場は防寒具にも…いててて!悪い、ちょっとふざけただけだって!噛むな噛むな!」
まあ相棒を道具扱いすればそうなるだろう。
肩から上を完全にモフモフに支配されている獅子王を眺めながら、Aは目の前の料理を黙々と食べ続けた。
〜追記〜
てすとむり( ˇωˇ )しんどい( ˇωˇ )
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そると(プロフ) - ナツカさん» 一応この物語は完結したら少しいじってpixivの方にも載せたいと思っております!最後になってしまいましたが、これからも楽しく、張り切って書かせて頂きますのでよろしくお願いします♪ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ナツカさん» うわああああこんなに褒めて頂けるとは…(´ノω;`)ウレシイ…!!!大体の結末は考えていますが、自分は気分屋なので今とはガラッと変わるかもしれませんね( ˇωˇ )あと現在はもう受験を終えて高校一年生やってます…紛らわしくて申し訳ありません(汗)→ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 762ecccfb8 (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 長文、大変上からの無礼な感想誠に失礼いたしました。ただ、是非完結まで追いたいです。占ツクをやって3年近くたちますが、1番と言っていい程楽しめる作品です。勉強との両立、大変だと思われますが、ご自愛のもと、どうかこの素晴らしい作品を書き上げてください!!! (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - 先が読めなくて、主人公と刀剣がどう和解するのか、はたまたバッドエンドなのか、予想がつかず妄想が膨らみ大変ワクワクします。本当に、もっと評価されるべきです、何故HIT数がこんなに少ない……! 正直占ツクよりも、pixivなど年齢層の高い場所で受ける作品かもです (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
ナツカ(プロフ) - ギャグも、キャラをよく理解しかつ自分の中でキャラを動かせてるのだと思います。違和感なく楽しめます。受験生ということでしたが、高校3年生ですか? その年でここまで書けるのは、脱帽、尊敬に尽きます。結末までの構想は練ってあるのですか? 続きが気になります (2017年10月8日 22時) (レス) id: 0606ce557e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 18時