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第五話 参着 ページ6

「(エ、消すってヤバくな___)ッウワァ!?手のひらから武器出てきた!?何それ!?」

『……避けんなよ、さっさと祓ってやるから』

「祓うって……俺何ともねーって!なぁ伏黒!」

「……っ」


一目見た限りでは、今の人格は呪物の中身__両面宿儺ではなく、パーカー少年の人格なのだろうと推察できる。


『今話しているのがごく平凡な人生を送ってきたただの人間だったとしても。お前が指を食った時点で終わり。お前は呪霊。だから消す。他に何かある?』

「何かって……」


窮地から脱する為に何か言葉を続けようとする少年。
何を言われようと僕の意思が変わることは無いだろうに、時間の無駄とも思える。
術式で発現させた呪具を構え、彼の首を狙う___ところで。



「今どういう状況?」



聞き慣れた声が唐突に降った。


『あれ』

「なっ……五条先生!どうしてここに」

「来る気なかったんだけどさ。さすがに特級呪物が行方不明となると上が五月蝿くてね。観光がてら馳せ参じたってわけ」

あくまでも観光がメインになっているあたり、この教師のクソ具合が露呈していた。

「で、見つかった?」

「『……』」


その言葉に、僕と恵くんの視線は自然と“彼”に向いていた。


「あのー……ごめん。俺 それ食べちゃった」

「……………マジ?」

「『マジ』」


五条先生はつかつかとパーカー少年の方は近づき、グッと顔を寄せる。


「ははっ、本当だ。混じってるよ。……体に異常は?」

「特に……」

「宿儺と代われるかい?」

「スクナ?」

「君が喰った呪いだよ」

「あぁ、うん。多分できるけど」


宿儺すら分からないガチの素人。
それなのに、何故受肉しても平然としているのか解せない。器の素養があった?ただの一般人に?


「じゃあ十秒だ。十秒経ったら戻っておいで」

「でも……」

「大丈夫。僕 最強だから」


必要かもよく分からない柔軟運動をしてから、五条先生はポイと恵くんに紙袋を渡す。

「恵、これ持ってて」

「これは?」

「喜久福」

『……仙台名物』

「(この人、土産買ってから来やがった……)」


ホントに観光メインじゃねーかよ。
僕は特に怪我もしてないけど、恵くんに関しては呪霊からの攻撃を真面に受けて頭から血も流してるってのに。

「土産じゃない。僕が帰りの新幹線で食べるんだ」

「ッ後ろ!」


五条先生の後ろを狙った宿儺__だが、軽々と攻撃を避け、背後に回る。


「生徒の前なんでね。カッコつけさせてもらうよ」

第六話 遺愛→←第四話 即断



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作者名:リナ | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2021年2月20日 21時

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