手を34 ページ34
『...あのね、島崎くん』
「ぉ、どうしましたか??A"さん"?」
『〜...』
昨日言おうかと思ってたんだけど言えなかったことがある。
『どうして私の事、さん付けするの??
昔はAってちゃんと呼んでくれてたよね』
そう、彼は私と再開した途端にさん付けを始めたのだ。
しかも喋り方まで大人っぽくなっちゃって。
昔なんて普通にタメだったのに。
『なんか、島崎くんと私が
遠い存在になった気がして、寂しいな』
「...」
.
ポンッ
すると頭に重みが。
顔を上げると私に伸びる腕が見えた。
左右に動き、私の頭を撫でる。
.
.
「...
"A"」
『!』
久々に呼び捨てで呼ばれた。
懐かしさと同時に嬉しい感情が込上げる。
なんだか本当に嬉しくなって口元が緩んだ。
『なぁに』ニカッ
「..ッ...!」
『??』
すると島崎くんは何故か苦しそうな表情をした。
何でだろう、なんでそんな顔するの??
彼の手は私の頭から頬に伝い、優しく撫でる。
猫を撫でるような手つきで。
.
「A...
俺、は...」
『...島崎くん??』
様子がおかしい。
頬に触れる手が震えている。
そっと私の手を重ねようとすると、素早く離された。
じっと己の手を見つめ、私に視線を向けると
ニコリといつもの顔をした。
.
「すみません。
昼食の途中ですが、私はここで失礼します。
美味しかったですA"さん"」
『え...?』
すっと立ち上がり、玄関へ歩き出す島崎くん。
なんでいきなり、どうして。
ここで私の予感が走った。
今ここで引き止めないと彼ともっと離れていってしまうんじゃないかと。
『ッ...
待って!!』
扉の角を曲がり玄関を見た。
.
.
『
いない』
しかしそこには彼の姿はもう無かった。
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミー(プロフ) - 仕事終わりに溜めてたぶんを一気読みしました!島崎さんへの愛がただただ深まりました…。爪である所がバレてしまってどうなるのか気になりますね…!更新頑張ってください♪ (2019年4月14日 19時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
なかさま(プロフ) - すず菜さん» え、え、そんなに褒めて頂くなんて感動しまくりですよ。私もそんなに褒めてくれるすず菜さんが好きです笑応援よろしくお願いします! (2019年4月8日 0時) (レス) id: dc39ce0bdb (このIDを非表示/違反報告)
すず菜 - 文章がとても読みやすい上に設定も関係もすごく素敵ですし…もう魅力を250文字まででは書ききれないほど好きです(´;ω;`)執筆応援してます!! (2019年4月4日 2時) (レス) id: 5e5a5b7bdc (このIDを非表示/違反報告)
なかさま(プロフ) - 不登校の自殺志願者さん» 会話をごく一般的にしそうな感じでしてみてます笑笑さてさて霊幻さんも出てきたところでどうなるか! (2019年4月2日 2時) (レス) id: dc39ce0bdb (このIDを非表示/違反報告)
なかさま(プロフ) - ミーさん» 何度でも評価して欲しいものです(T_T) (2019年4月2日 2時) (レス) id: dc39ce0bdb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なかさま | 作成日時:2019年3月29日 19時