悔しさ滲み ページ38
『だって、完全に一方的でしたし。ゆづは本当に、理不尽に…』
「へぇ。俺は新人ちゃんのそういう所は嫌いだなぁ」
『なっ…』
「ははは。怒った」
ヘラヘラと。
やはり、ゆづに対するイラつきは未だに残っているらしく、このままでは惠さんにすらあたってしまいそうだ。
「逆に、案外遠慮がない所は気に入ってるよ。君が結弦に言った言葉は長所のそれじゃないかなぁ」
『長所は、時に短所になります』
「そうやって謙虚に生きてきたから、満江を殺すことになったんだろうね」
『………ッ!!』
「……また、怒った」
今度は目を細めて。
全て、見透かすように。
触れられたくない所だった。
自分が目を逸らしていたから、忘れようとしていたから。
「でも、結局自分の手で殺したんだからやる時はやるよね。…それも結弦の言葉があったからなのかな?」
『いい加減に、してください…』
図星の言葉に、怒る気力すらわかない。
「新人ちゃんは、自分の意思じゃ動けない悪い子だっけ?」
ずい、と顔を近づけ嘲る。
私が手に持ったトイガンを、彼の胸に当てて。
「気に食わないもの……悪は殺す。そういう世界だよ」
『それは、悪じゃ……ありません』
「ホント、そういうところだよ」
そういうところが何なのか。
私には知る由もない。
『……惠さ__』
「はっけーーん!!」
「お、」
唐突に。
上から降ってきたのは、夕日ちゃん。
『わっ…!?』
「よし、捕まえました!」
満面の笑み。
銃口を向けたまま、撃つ気配はない。
『…っ!』
「力にはそこそこ自信があります!」
押さえられた手首。
力が強くて、振り解けない。
パシュ、という音とともに銃弾が私の横に飛んだ。
方向からして…春日くん。
だけど…偶然に外れたとは思えない。
彼の射撃の腕。それに…恰好の的である夕日ちゃんの挙動。真夏さんや透さんが来る気配もない。
銃は私の下敷きとなって取れそうもない。
取れるのは、右ポケットのスマホくらいだ。
相変わらずの笑顔で見つめる惠さん。
そして、夕日ちゃんが口を開く。
「これは、春日にしか効かない戦略ですが、それでも今後の対策になるでしょう。彼は私に銃口が向けられません」
『……え、』
「夕日の右手を奪ったのは春日ですから」
ずしりと、重い言葉。
あまりの衝撃に、開いた口が塞がらない。
「どうするの、俺の嫌いな新人ちゃん?」
今の私は嫌いだと、追い討ちをかける言葉に…私は唇を噛んだ。
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リナ@オリ垢(プロフ) - 星雲さん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しい言葉です…!頑張ります! (2019年3月11日 13時) (レス) id: 4ca9bb93a1 (このIDを非表示/違反報告)
星雲 - すごく面白い!私は真夏さんが好きです!イラストも私の好みです♪更新頑張ってくださいね! (2019年3月11日 8時) (レス) id: 856336a373 (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリ垢(プロフ) - 如月 唯奈さん» コメントありがとうございます!はい、頑張ります! (2018年12月18日 20時) (レス) id: d33000d880 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - リナさん、初めましてっ!( ☆∀☆)面白かったです!私も殺し屋を主人公とした小説を作っています。更新頑張ってくださいね! (2018年12月17日 1時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年11月25日 11時