チャンス ページ37
「……」
『……』
何だか、すごく申し訳ない。
春日くん、ごめんなさい。
さっきから、全く会話を交わさない2人…私とゆづである。
今までであれば寧ろ、ゆづと組めてラッキーとか思えたのだろう。
だが今回は、今回だけはそうは思えなかった。
「えーっと、どうしようか。多分向こうは連繋してくるし、固まって動くか?」
「俺は1人の方が動けるけど」
『…私も、今回は散らばりたいかな』
申し訳なさありつつも、今この空間にいるのは苦痛だった。
「……よっし、分かった。俺が2人を援護しよう。そうしよう。じゃあ、結弦は東側に…」
「頼んだ」
「…あ」
西側へ向かうゆづ。
別に反抗ではなく、単に後半の話を聞いていなかっただけだろう。
『…なんか、ごめんなさい』
「いや、良いけど…なんかあったのか?」
『私が昨日一方的に怒った…みたいな』
「…双葉が」
目を丸くする春日くん。
自分でも驚きだった。普段から 怒る、ということはほとんどなかったから。
『とりあえず、私が東行くね。お願いします。』
「うん、…わかった」
少し戸惑った様子の春日くんを置いて、私は走り出した。
*****
「なぜリーダーとはこんなにご縁があるのでしょうか」
「愛のパワー!だね!」
「愛は勝手にお二人でどうぞ」
冷めた目のゆうちゃんに、若干心折れつつも。
「けど、今回はチャンスだね。名コンビは絶賛ケンカ中だし!」
「心配だけどね…」
透は優しいなぁ。
確かに多少の心配はするけれど、今回の件、間違いなく蜜ちゃんが悪いのだ。
「でも、そうですね。どうせなら勝ちにいきたいですよね。」
「お?何か策が?」
「私だからこそ知る、春日の弱点です。」
悪戯な笑みを浮かべたゆうちゃん。
楽しそうなその表情に、期待を寄せて。
*****
惠さんからの合図の後、フィールドの空気感が一気に変わる。
フィールドは完全な森。
敵の接近も、目で気づくことはほぼ不可能だろう。
「あ、発見」
『っわ!?』
思わず構えてしまう。
…が、そこにいたのは惠さん。
ルールでは、惠さんは邪魔こそするものの、彼からの攻撃はリタイア対象にカウントされないらしい。
この人を相手にするのは…正直自信もないし。
「結弦と喧嘩したの、昨日の夜?」
大きな岩に腰掛け、私を真っ直ぐに見つめる。
ただただ純粋な目だ。
『…そう、です。でも、悪いのは私で…』
「………どうだか」
笑いの混ざった声。
心底面白くなさそうに。
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リナ@オリ垢(プロフ) - 星雲さん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しい言葉です…!頑張ります! (2019年3月11日 13時) (レス) id: 4ca9bb93a1 (このIDを非表示/違反報告)
星雲 - すごく面白い!私は真夏さんが好きです!イラストも私の好みです♪更新頑張ってくださいね! (2019年3月11日 8時) (レス) id: 856336a373 (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリ垢(プロフ) - 如月 唯奈さん» コメントありがとうございます!はい、頑張ります! (2018年12月18日 20時) (レス) id: d33000d880 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - リナさん、初めましてっ!( ☆∀☆)面白かったです!私も殺し屋を主人公とした小説を作っています。更新頑張ってくださいね! (2018年12月17日 1時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年11月25日 11時