月光に降り注がれ ページ34
『お疲れ様、です。』
「…双葉」
綺麗な青が私を捉える。
ゆらゆら揺れる水面は、月光に当たり輝いていた。
『お互い大変だったね。手、大丈夫？』
「あー、だいぶ治ってきた。明日にはまた上乗せされるだろうけどな」
『確かに…』
彼の横で、足はつけずに水面を見つめる。
そして、私は口を開く。
『暁さんの話…を、聞きたい』
「っ！」
目に見える動揺だった。
でも、全く後悔はしていなかった。
「それは……言いたくない」
『でも、私は関係あるよね？』
「……、」
見たことの無い、ゆづだ。
触れると壊れてしまいそうな、硝子玉のような。
『私は、死なないよ。あなたを置いていったりしない』
「俺は、……」
「たぶん俺は…好きだった」
あいつのことが。
そう、言い足してから俯いた。
どうしてそんなに泣きそうなんだろう。
どうして、……どうして、だろう。
「大事な人を目の前で殺されたら、双葉はどんな気持ちになる？」
『……分からない。お父さんやお母さんは、結局遺体すら見れなかったし、満里奈は、……何だろう。大切だったけど、何となく、私は間違っていない気がするから』
お互い、顔が見れなかった。
夏だというのに、指先が冷たい。
「俺はその男が、ただひたすらに憎かった。アイツは2人の男に殺された」
『2人、？』
「……」
ああ、聞いてはいけない一線だ。
今の私じゃ、それは聞けないらしい。
「俺が紅苹果になったのは、復讐のため」
『…！』
「西宮望が、生まれてきたことを後悔するくらいに苦しめて殺す」
喉の奥が、キュッとなった。
泣きそうな、そんな感覚。
「そして今度こそ、暁、お前を守る」
彼は、どこを見ているんだろう。
彼は、誰を思っているんだろう。
優しい眼差し。
こんなの、見たこともなかった。
けど、私じゃない。
悲しみの次に来るのは、怒りだ。
『私は…私でしかないから』
「！」
『貴方に守られる筋合いはないし、暁と呼ばれるのも、…とても不快』
傷つけて、何になるのか。
分からない。分からないけど、言葉が止まらない。
「…あ、………双葉」
『ごめん、』
そっと伸びた手を、私はゆっくり離した。
今まで触れたことすらない、優しい指先だった。
それが悲しくて、悔しいのは何故だろう。
『こんな時間に、話しかけてごめん。……さよなら』
私は、意地悪だろうか。
こんな言葉、彼が傷つくと分かっているのに。
『…馬鹿』
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リナ@オリ垢(プロフ) - 星雲さん» コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しい言葉です…！頑張ります！ (2019年3月11日 13時) (
レス) id: 4ca9bb93a1 (このIDを非表示/違反報告)
星雲 - すごく面白い！私は真夏さんが好きです！イラストも私の好みです♪更新頑張ってくださいね！ (2019年3月11日 8時) (レス) id: 856336a373 (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリ垢(プロフ) - 如月 唯奈さん» コメントありがとうございます！はい、頑張ります！ (2018年12月18日 20時) (レス) id: d33000d880 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - リナさん、初めましてっ！( ☆∀☆)面白かったです！私も殺し屋を主人公とした小説を作っています。更新頑張ってくださいね！ (2018年12月17日 1時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2018年11月25日 11時
