忠告 ページ4
『蜜葉暁を殺したのは…貴方？』
知りたいと思った。
…その真実に、触れたいと。
聞けなかったのはきっと、罪悪感。
彼に何も言わずにそれを知ることが、申し訳なく感じてしまっていた。
「…それを知って あなたはどうするんでしょうかね」
『そんなこと言って、』
「言い逃れじゃありませんよ。単なる疑問です。どうあがいても僕が犯罪者であることに変わりはないし、仮に殺したとしてそれを知ってあなたは僕を目の敵にするんですか？」
きっと、この男にはいくつもの返答を用意しているのだろう。
私が何を言っても、この男は核心を突かせない。
『なら、質問を変える。……貴方はどうしてネメシスにいるの』
「……それは、結弦を守ってくださいという言葉と同義ですね。結弦の心の拠り所が欲しいわけだ」
ニコリと何も悟らせない笑み。
なら私も何も悟らせまいと、唇を きゅ、と結ぶ。
「まぁ、これはいいか。一度行ったとは思いますが…。この国がどう転がるか見たいんですよ」
『転がる、って…。』
「人々の選択の中で、一番滑稽な形。それがどんなものか見たい。一つの作品づくりですかね」
______狂っている。
その瞳には暗く、底深いものがある。
全てを映しているようで何も映していない。
この男が求めているものが…分からない。
「残念。時間切れですね」
『…あ、』
見覚えのある車が遠くからやってくる。
西宮はベンチから立ち上がった。
「それじゃあ、これ。」
『…？』
「携帯番号です。とはいっても連絡以外は出来ないので。個人情報やら位置情報やら、調べても偽物しか浮かび上がらないでしょうから。」
『な…っ！』
なら、つまり、どういうことだろうか。
「“本当に必要な時に、連絡を”。」
「…貴方の正義のためにね」
人差し指を私の唇にあて、そのまま踵を返して去っていく。
私の正義のために、必要な時。
わからないけれど、忘れてはいけない言葉だと確信した。
「また。…会いましょう」
深い闇に引きずり込まれるような。
そんな笑顔に肌が泡立った。
絶対に、この男だけは信用してはいけない。…そう、忠告でもされたみたいだ。
「おーい、二人連れてきたぞ！お兄さんの怪我やばいから早くした方が良くねぇか？」
『えっ？あ！はい、急ぎましょう！』
戸岳さんと協力して春日くんを二階まで運んでいく。
「……」
その間、ずっと暗い表情のままの夕日ちゃんに声をかけてあげることは…
何となく、出来なかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リナ@オリ垢(プロフ) - 星雲さん» コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しい言葉です…！頑張ります！ (2019年3月11日 13時) (
レス) id: 4ca9bb93a1 (このIDを非表示/違反報告)
星雲 - すごく面白い！私は真夏さんが好きです！イラストも私の好みです♪更新頑張ってくださいね！ (2019年3月11日 8時) (レス) id: 856336a373 (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリ垢(プロフ) - 如月 唯奈さん» コメントありがとうございます！はい、頑張ります！ (2018年12月18日 20時) (レス) id: d33000d880 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - リナさん、初めましてっ！( ☆∀☆)面白かったです！私も殺し屋を主人公とした小説を作っています。更新頑張ってくださいね！ (2018年12月17日 1時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2018年11月25日 11時
