お姫様 ページ2
＿＿＿＿童話に出てくるお姫様は、王子様に助けられるか弱い女の子。
だけど私は、そうありたいなんて思ったことは一度も無かった。
毒林檎を差し出す魔女なんて、殺してやる って。
輝かしい舞踏会なんて、いらない って。
そうして生きてきたのだから、私はそれを苦しいと感じることなんて全くなかった。
私はお姫様じゃなくて良い。
王子様でもなんでも、守れるのであれば守ってやる …と。
そんな想いが揺らいだのは、いつからだったろうか。
「……はぁ……、は…」
荒い息。それ以外は何もない、静まり返ったフロア。
春日のパーカーから落ちたスマホから、着信音が鳴る。
私はそれを手に取り、通話ボタンを押した。
《春日？今どうなってる！？》
何から言葉を紡げば良いのか、分からない。
荒い息だけが、彼らの耳へ届く。
《……夕日、ちゃん…？》
私を見つけ出してくれたことへの喜びなのか、何なのか。
分からないけれど、辺りの血の匂いが濃く感じる。
どうやら私は正気に戻ったらしい。
「……A、さん…」
《！夕日ちゃん、怪我は？…春日くんは無事？》
「…私は、無事…です。……春日は、重症です」
《今からそっちに迎えを送る。春日担いで外まで行ける？》
今度は惠さんの声。
二人の声はどちらも、暖かく柔らかだ。
「……だめ、」
それでも、私の本能はそれを許さない。
私を繋ぐ鎖が、それを制止する。
《任務なんて置いていいから。早く、》
「…だめ……！！」
物語のお姫様にはならなくていい。
私は誰かを守るために、こうして生きるのだ。
生きるためには人を殺さなきゃいけない。
死んだら人を、守れない。
《…知らないけど》
「…、」
《少なくとも君達には それ以外の方法でも生きられるだろ》
そんなこと、知ってる。
だけど、それでは、守れない。
「……たし、は、…守らな…きゃ」
《あのさぁ！》
「……っ！」
びくりと肩が揺れた。
《……夕日は、何のために生きてるんだよ》
建前なんて、要らないのだ。
私はもう、ずっと前から、誰のために生きてるかなんて決まっているのだ。
「……はる、ひ…」
息の浅い彼。
腹部からは止めどなく血が溢れ出している。
涙が溢れる。
痛くもないのに、どうしてだろう。
《惠さん！すぐ向かってくれるそうです》
《了解。…夕日。お前の選択を信じる》
プツリと通話が終わる。
「……だれか」
「……助けて、ください…」
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リナ@オリ垢(プロフ) - 星雲さん» コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しい言葉です…！頑張ります！ (2019年3月11日 13時) (
レス) id: 4ca9bb93a1 (このIDを非表示/違反報告)
星雲 - すごく面白い！私は真夏さんが好きです！イラストも私の好みです♪更新頑張ってくださいね！ (2019年3月11日 8時) (レス) id: 856336a373 (このIDを非表示/違反報告)
リナ@オリ垢(プロフ) - 如月 唯奈さん» コメントありがとうございます！はい、頑張ります！ (2018年12月18日 20時) (レス) id: d33000d880 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - リナさん、初めましてっ！( ☆∀☆)面白かったです！私も殺し屋を主人公とした小説を作っています。更新頑張ってくださいね！ (2018年12月17日 1時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2018年11月25日 11時
