重ねて ページ10
「で?ひなちゃんは一人で帰れそう?」
「あぁ。迷惑をかけた。それじゃあな」
『あ、部長!』
踵を返しかけた彼女を呼び止める。
不思議そうな顔をする彼女。
『私にも教えてくださいね、医療の知識。』
「…っ、ああ。分かっている。………また、明日」
一瞬驚いた顔をした彼女だったが、すぐに笑顔へと変わった。
私も笑い返す。
「それじゃ、帰ろっか」
『ですねっ。』
スーパーの袋を持ち、歩き出す。
真夏さんは、私を見てニコニコしながら。
『………あの、見過ぎなんですけど…』
「そう?ちょっと嬉しくてね。」
『何がです?』
「君が
少し、今更な気がした。
今回のことで改めて、ってことだろうか。
「あのねぇ、Aちゃんが入る前はちょっとギスギスしてたというか…うん、主にメグと蜜ちゃんのノリが悪くって。」
『…でしょうね』
「依頼をこなす、それだけ。って感じなんだよね。実際正染自体はそんな感じだし、他のとこもそんなんばっかだけどさ。俺がリーダーになったからには、そういうのいやだったんだよ」
夜とはいえど、暑さは静まらなかった。
歩くたびに肌が汗ばんでいく。そんな中、私は彼の顔から目をそらさずに話を聞いていた。
「これ…本当は言っちゃダメなんだけど。あの二人は大事な人を間接的に傷つけてるから」
『………っ?』
「うん、その反応が普通。名前だけ覚えておいて。たぶんいつか全部知る日が来るから。…メグの元恋人の山崎
傷つけてる、と言った。
生きているんだろうか、それとも____…
「君はね、暁さんによく似てるよ」
『ゆづの、お姉さんに?』
「顔立ちとか声とか……何より性格かな。その強い意志が、ほんとに似てる。」
……だから、私は。
「だから、君は、もう
彼が、私に関わる理由が分かった気がする。
ううん、確実にこれなんだ。
亡くなった暁さんに、私を重ねている。
『…死んだり、しません。』
『私は双葉Aです。私は私としてゆづに関わるし、ゆづに私は私だと認めさせてやります。』
ここは、地獄のような場所だ。
痛みも苦しみも悲しみも、全部集まっている。
それを受け入れ、私たちは銃を握るのだ。
「君がきてくれて、良かったよ。」
真夏さんは笑った。
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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年7月15日 12時