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この世界 ページ36

「真紅には、あるルールがあります。…特定期間内に特定の任務をこなすこと。それが出来なければ夕日達は真紅でいられなくなる」

『真紅って……もしかして、』

言いかけたその言葉に被せるようにして、えぇ、と返事知って夕日ちゃん。
私は彼女を見つめる。

「真紅の大半はB種を占めています。生きるため、夕日達は正染にいる」


体のどこかに障害を抱えた者。
帰る家がない者。
生きる術がたった一つだけだった者。

そんな人たちの集まりであると、彼女は言う。


「夕日と春日は、幼少期に親に捨てられ孤児院で育ちました。おかげで勉学も何も、字すら読めませんでした。…そんな夕日たちを拾ってくれたのが 真紅のリーダー…東堂(とうどう)和弥(なごみ)さん。小学生くらいの歳からずっと、銃やナイフを握って生きてきました」

『それって、銃刀法がまだあった時代…だよね?』

「…はい。この頃からテロは活発化していましたから、恐らくその対策として正染が設立されるという事は決まっていたと思います。そのために私たちが育てられた…と考える方が妥当です」


正染のために育てられ、正染のために生きるだなんて。
…そんなことを生きがいにして、私は生きることができるだろうか。

「夕日は、物心ついた時から右手を失っていましたけど、春日は___…」



_______春日くんは、正染内のトラブルに巻き込まれ、その際に右足を失ったという。




「右足だけであったのが不幸中の幸いと言えます。そのくらい危ない状態で……。全身に毒がまわり、命を落とすことさえあった状況でしたから…やむ終えず、太腿から下を切断することへなりました」

『………どう、して…』


どうして、そこまでしてこんな場所で生きるのだろう。
…いや、分かっているのだ。彼女たちに、それ以外の術がないことくらい。
それでも、やっぱり…


《試合終了です!Bチームのメンバーには10ポイントが加算されます!》


何かを思う前に、試合終了の合図が出された。
夕日ちゃんが立ち上がり、私も同じく立ち上がる。

「Bチームの試合が2試合とも終わりましたから、Bチームの集計結果が出される頃ですね。行きましょう!」


その明るさは、きっと嘘じゃないのだろう。
心の底から優しくて、明るい子だ。


…そんな子が、こんな場所でしか生きれない。



誰が…こんな世界にしたんだろう。


*****

1回戦ごとに各チーム2試合、終わったチームから通過者発表の流れです。

最終試合→←イメ画置き場。



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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2018年7月15日 12時

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