警告音 ページ21
『………え、』
「さっすが。とりあえず今日はこれでいこっか」
『え、いや、あの!?何でこんな真ん中に…』
見間違いか、もしくは惠さんが何かしたとか……いや、それは無いか。
けど私がこんなとんでもない命中率なわけない、し。
完全にマグレだ。
「マグレじゃないよ。……それだけ言っとくね」
にこりと笑った惠さんは、二階へ下りて行った。
マグレじゃない?…ということは、私の実力ってこと…?
『作戦前だし…。自信を持った方が良い…よね?』
けど…何だろう。
納得はできない…かなぁ。
*****
《…それじゃあ、作戦決行。》
耳に はめられた通信機から、惠さんの声。
さっきの会話が少し気になるけれど…それは忘れて、頑張ろう。
ホテルに入り、B1へ向かう。
B1にはホテル客へ向けられた、バーやカジノ、そのほか未成年者も利用できるスペースが広がっている。
だから念のため、ある程度の正装はしてきている。ドレスほどしっかりした格好では無いけれど。
「周り見渡して、怪しげな人がいたら話しかけていくわ。固まらないと危険だけど、ずっと一緒にいすぎたらかえって不自然だから臨機応変にね。」
と、言った透さんはあまり離れていない距離の男性に話しかけていく。
「……焦ってんな」
『やっぱりそう、なのかな』
話を聞いた限り、彼女が焦ってしまう気持ちもわかる気はするけれど。
でも、彼女が空回りしてしまわないように、私たちも頑張らないと。
「こちらは如何ですか」
『…えっ?』
店員さん、だろうか。
手にある飲み物を差し出される。
明るい色で…少し甘い香りのする飲み物。
…これって。
「では一つ」
「どうぞ、ごゆっくり」
それを受け取ったゆづは、近くのテーブルにそれを置いて再び歩き出す。
「大体 酒だから、受け取ってテーブルに戻しとけよ」
『あぁ、うん…』
受け取らなければ怪しまれるから、だろうか。
…確かに未成年と思わしき客もお酒を飲んでる。
ここって、十分 取り締まらなければいけない場所なのかもしれない。
「…あ」
『どうした?』
「……瀬名だ」
私の前に手を出して、盾になるように一歩下がる。
数メートル先に、たしかに瀬名がいた。
お酒を片手に談笑している。
「…惠さん、瀬名を見つけました。距離を空けて追います。透さんにも通してください」
《了解。》
ゆづの横を歩いてゆく。
今の所、誰にも怪しまれていないが…。
『!』
警告音が鳴り響き、照明が赤くなった。
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作者名:リナ@オリジナル小説垢 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年7月15日 12時