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『おい、着いたから起きろ』

体を揺すられて起きると、寝る前に感じた感触が確かだったことを裏付けるひざ掛けが掛かっていた。
車の中にひざ掛けを置いておいた覚えなんてなくて「なんでこれ、」と訳が分からないまま呟く。

『寝てたから』

「いや、そうだけど…そうじゃなくて。なんでこれがここにあるの?」

しかもこれ、わたしがもってるのの色違いじゃん。

『お前いつもこの時間寝てるから、車の中でも絶対寝ると思って用意したんだよ。それに、風邪ひかれたら面倒だし』

「…じょんぐくが買ってきたの?」

『それ以外誰がいんの、』

いや、……このひざ掛け買うの絶対恥ずかしかったでしょ。
だってこれ、もこもこで畳むとぬいぐるみになってるやつだし..しかもピンクのうさぎだよ?
ほかにも色んな動物あるのに。なんでこれ?
強面のじょんぐくが買ったって想像しただけでなんか笑えるんだけど。

こらえきれない笑いが漏れる。
じょんぐくはそんなわたしを見て『笑ってんじゃねえよ』と相変わらずぶっきらぼうに言った。

「だって、じょんぐくが買ったって想像したら面白くて、笑。ほかにも虎とかゾウとかいっぱいあるのに…なんでうざぎ?笑」

『……前に、うさぎが売り切れてて買えなかったって騒いでたのどこのどいつだよ』

そういえば..ひと月前、今持っているひざ掛けを買うとき、本当はうさぎが欲しかったのに売り切れてたから妥協して他の物を買ったんだっけ。
そで、それをてひょんとじみんに、他のみんなもいる前で「売り切れてたー!」って半べそで騒いでたような…。

……1か月前のことなのに、覚えてたっていうの?
わたしもちょっと忘れてたのに?
…嫌ってるくせに、なんでそんな喜ばせるようなことするの、

珍しくわかりやすいじょんぐくの優しさに心臓が思わず跳ねる。

『ほら、早く家入るぞ』

そう言って先に車からおりるじょんぐく。

心なしか、耳が赤くなっているように見えた。

じょんぐくでも照れるんだ?
まったく。優しいのか冷たいのかどっちかにして欲しい。

動じない姿を見せたいのに表情はごまかせず、勝手に頬が緩む。
じょんぐくはそんなわたしを見て『きも』とかなんとか言ってるけど、今は全然気にならなかった。

隣を歩くじょんぐくの耳は、やっぱり少しだけ赤かった。












____ここまでが、じょんぐくが専属護衛になった初日の出来事。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2023年12月14日 14時

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