最恐護衛 (ページ44)

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「…………名前呼んだの、いつぶりよ」

それも、信じられないくらい優しい声。
普段のじょんぐくじゃ考えられないくらい。

ちゃんと起きてるじょんぐくに呼んで欲しかったな、なんて。

……ねえじょんぐく。
いつも何考えてるの？どうしてわたしばかり冷たくするの？
どうして、寝言でわたしの名前を呼んだの？

相変わらず全く起きる様子のないじょんぐく。

名前を呼ばれてどきどきしたとかときめいたとか、そんなんじゃなくてただただ心臓が締め付けらた。

「……わたし、本当はじょんぐくのこと嫌いじゃないんだよ」

じょんぐくがわたしのことわざとらしく他の人とは違う扱いをするから嫌いなだけで
本当は、わたしのなかではずっと、大好きなお兄ちゃんなんだよ。

泣きたくなるくらい自分でもよくわからない感情。
いいや、この感情がなんなのか、わたしは本当は分かってる。
ずっとわかっていて、分からないふりをしている。

今はじょんぐくのことなんて考えてる暇ないのに。
じょんぐくに対する気持ちに、向き合ってる場合じゃないのに。
わたしは、これからどうするのかを考えないといけないのに。

たまにみせる優しさに、感情が乱されることはよくある。
だけど、今だけはやめてほしかった。たとえ無意識だとしても、いつものむかつく相手であってほしい。

わたしばかりに冷たくしないでって思っているのに、ムカつく相手でいてほしいっていうのも、矛盾だよね。