最恐護衛 (ページ41)

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『まあ、わざと襲わないって可能性もあるけど』

「え？」

もう一度小さくそう呟いたじょんぐくに、結局なにもわからないじゃん、と落胆する。

結局わたしたちは、裏切り者が断定できないままずっと手のひらで踊らされているのかもしれない。

〔おい、部屋割りはどうする？〕

手続きをし終わったなむじゅんが、こちらに来るなりそう言った。

〔とりあえず二部屋借りたけど……お嬢は一人部屋がいいか？〕

一応女の子だし、と続けるなむじゅん。

いや、一応って何。ねえ。普通に女の子なんですけど。
………まあそれは置いといて。

いま一人になるのはちょっと怖いなあ。
こんなセキュリティーも効いた、この中に裏切者がいない限り襲われないホテル、なにかが起きるって確証はないけど…それでもさ。

うーんと頭を悩ませていると、何も言っていないのに勝手にじょんぐくが『こいつは俺と一緒でいいです』とみんなに向けて言った。

その言葉に三人が「「「まあ護衛だしな」」」と納得する。

いつもならわたしも”は？なんでじょんぐく？”と文句を言うところなのだけど、このなかで今のところ唯一信用できる人間だからそんなこと言うはずもなくて。

「うん。じょんぐくと一緒の部屋にする」

と自分でも頷いた。

〔早く上がろう。お前ら三人、このホテルには似合わない恰好をしてるから凄く見られてる〕

恥ずかしそうにするなむじゅんに、指摘されたわたしとじょんぐく、てひょんの三人が辺りを見回す。
すると、なむじゅんの言っている通り他のお客さんがこっちをみてひそひそ話しているのが見えた。

全然気が付かなかったけど…当たり前か。
タオルで拭いきれなかった灰に、全体的に濡れている洋服。
2人に関してはズボンの裾が焼け溶けている。
いままで公の場にいて気にしなかったことのほうが恥ずかしい。

急いでエレベーターに乗り込み、なむじゅんから鍵を受け取る。

隣接するお互いの部屋の前で別れて部屋に入ると、2人なのにものすごく広い部屋が広がっていた。

「……やば」

なむじゅん、やば。
何者？こんな部屋に一生住めるだけのお金持ってるならうちの組にいる必要ある？
わたしなら一生遊んで暮らすわ…。