最恐護衛 (ページ38)

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〔そうだな。俺たちをばらばらにして、それぞれに殺そうとしてるんだろう。集まると厄介な集団であることは間違いないから〕

「でも、なんの恨みがあってそこまで……」

徹底的にやるとしても、仲間として過ごしてきたんだよ。
心痛むとか、そういう感情はないのかな。

『最初から俺たちのことを潰すつもりだったのかもな。なんのタイミングで今か知らねえけど』

じょんぐくが何の感情もこもっていない顔で、そう呟く。

「……裏切り者、」

このなかにいるのかもしれないし、いないのかもしれない。
疑いたくないけど、ここまでされたら誰も信じてはいけないのかもしれない。
いくらヒーローみたいに登場した2人だって、どちらかが演技しているかもしれないし、もしかしたら裏切り者は一人じゃないかもしれない。

先入観にとらわれて信じることは、足元を掬われること。

だから、てひょんは違うと感じた直感も、疑うべきなのかもしれない。

だけど、どうしたって誰のことも疑いたくなかった。

それでも、わたしはこの先、誰のことも疑って行動するべきなのだろう。
自分の命を狙われてるのなら尚更。
それがたとえ、長年一緒に過ごした相手だとしても。

組長の娘。
ただそれだけでなにもしていないのに命を狙われている。
自分の生まれた環境を憎く思うけど、お父さんの娘じゃなかったらみんなとも関わることはなかった。
その、みんなのうちの誰かに狙われているのだけど。

考えれば考えるほど疑いたくない気持ちと疑わなければいけない気持ちが交差する。

どうしようもなくやるせない、胸を貫くこの感情に気が付けば自然と唇を強く噛んでいた。

『…………』