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同時に走り出す2人が、銃を構える相手に向かっていく。
常人では考えられないような動きで弾丸を躱して(しかもわたしのほうに飛ばないように考えて)相手を気絶させていく2人。
めちゃくちゃかっこいいけど……殺してないよね？気絶させてるんだよね？
ただの女子高生にはぐろすぎる光景なのに、映画を見ているようにわくわくしているだなんてわたしも血は争えないということなのだろうか。
次々と倒していくものの、奥からどんどん増えていく相手。
2人とも今日一日でかなり体力を使い果たしてるだろうし、ほぼ寝てないと言っても過言ではない。
そのせいで動きも鈍くなってきて、弾切れなのか撃たれはしてないけど相手の拳や蹴りが入っていくのが見えて。
いまさっきまでわくわくしていたというのに、一瞬で自分が不安や恐怖に包まれていった。
「じょんぐく…！てひょん…！」
そう叫ばずにはいられなくて、届くはずのない声をあげる。
だいたい2人で大勢なんて無理な話だ。しかもこっちは素手。
なぜか肉体勝負になっているみたいだけど、そもそもこっちは体力的にもう限界なんだから不利すぎる。
そりゃあ相手は不利なところに攻撃したいんだろうけどさ。
あまりにも……あまりにも
「卑怯すぎでしょ、」
そういう世界ってのは知ってたけど、想像でしか分からなかったし、実際の現場をみていなかった。
そもそもやくざってどんなことしてるかよくわかんないし。
こんな命の危険と隣り合わせで毎日生きているんだとしても、これが普通だとしても、2人がめちゃくちゃ強いとしても………大切な人たちが少しでも傷つくのは見ていられない。
傷ついていく2人を見るのも、こうして見てることしかできない自分ももう限界で、涙が頬を伝う。
2人が、2人が死んだらどうしよう。
そんなことまでも想像してしまって、怖くてたまらなくて。
やられてもないのに最悪ばかりを想像して手を伸ばそうとした時だった。
車のクラクションの音が聞こえて、それは明かりとともにわたしの視覚と聴覚を刺激した。
2人が戦っている前、敵が増えていく場所から一台の車が勢いよく突っ込んできたのだ。
じょんぐくとてひょんが車を綺麗にかわし、大勢いた敵だけが轢かれていく。
敵か味方かわからない登場に、車から降りようとドアを開けた人物を確認しようと急な光でチカチカする目を数回瞬きする。
騒がしかった空間に静寂が訪れると、その人物の声は良く響いた。
〈やっぱり。ここにいた〉
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作者名：空 | 作成日時：2023年12月14日 14時
