最恐護衛 (ページ31)

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3人で船内に座ってすっかり炎に包まれてしまった倉庫を見つめる。

潮風に吹かれたおかげで乾いてきた、少しぱさついてしまった髪の毛を手櫛で整えながら今起きている全てのことが夢だったらいいのにと呆然としていた。

「……なんで燃えたんだろ」

火が出る要因なんてないのに。

そんなことを思っていると、横からてひょんが【燃えたんじゃなくて燃やされたんだよ】と口をはさんだ。

「え…？」

どういうことかよくわからず、聞き返す。
すると今度はじょんぐくが『俺たちの足のつきそうなところ、全て消す気なんだろ』と髪の毛をかきあげながら言った。

『それくらい相手は本気ってこと』

海水でとれないくらい皮膚にこびりついた灰がついたじょんぐくの顔がこちらを向く。
てひょんの顔を見ても、同じように汚れていて。きっとわたしも同じ感じなんだろうなって思った。

三人とも、ぼろぼろな見た目になっちゃった。
わたしはこころもぼろぼろになりそうなんだけどさ。
この二人はそうでもないみたいで、なんなら今の状況を楽しんでいるかのように生き生きしてる。
なんかこう、水を得た魚みたいな。

「……相手って誰？」

敵対してるやくざなんて山ほどいるし、内部には裏切者もいる。
だけどこうも力づくで潰してこようとするあたり、相当恨みを持っている相手に違いない。
まあ……恨み持ってる人、多そうだけど。よく考えてみなくても、わたしたちには敵が多すぎる。

『さあな。俺もてひょいひょんも、相手の姿見てねえから』

じみんとかなむじゅんとか、迎え撃った人ならわかるんだろうなあ。
敵が見えればこっちも攻撃できるのに。

【………だいたいは絞られたけどね】

珍しく真剣な顔つきでそう言ったてひょん。
その言葉に食い気味に「どういうこと？」と食いつくと、てひょんは燃えていく倉庫から目を離さないまま【俺たちがこの倉庫を使ってるってこと、限られたやつしか知らないんだよ】と言った。