最恐護衛 (ページ4)

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ここは常に死と隣り合わせの世界。誰がいつ死んでもおかしくない。
だから、何百人もいる組員が死んでいくたびにいちいち泣いてたらきりがない。
やくざっていうのはそういうものだって姉に何度も聞かされたし、わたしも泣かないように、情を移さないように気を強く持つべきだとわかっている。

まあ…流石に長く一緒に過ごしている幹部のみんなが死んじゃったら絶対我慢できずに泣くんだろうけど。でも幹部のみんなは馬鹿みたいに強いらしいから死なないと思う。この人たち、絶対殺しても死なないでしょ。どのくらいみんなが強いとかよくわかんないけど、なんかそんな気がする。

【よかったじゃん。その辺のよくわかんない奴よりじょんぐくのほうが安心でしょ。”最恐”だっけ。あいつのあだ名。怖いものなしだね】

「そんなのどうでもいいよ！ていうか、てひょんも知ってるでしょ！？わたしがじょんぐくのこと大嫌いだって！！」

【でも知らない奴よりはいいじゃん？】

「それはそうだけど……じょんぐくってなったら話は別だよ。……なんでてひょんとかじみんじゃないの？同じ幹部なのに！」

もう嫌すぎて半分泣きながら訴える。
てひょんはそんなわたしを見ても相変わらず面白そうにしてるし、じみんは子どもっぽいわたしに呆れているのか〈はあ〉とため息なんて吐いてる。ひどい。

〈俺たちはやることがいっぱいあるからさ。じょんぐくは暇なんだよきっと〉

「やることあるくせにいつもここで２人で駄弁ってるの？え、さぼり？」

慰めようとしたじみんの厚意に全く気付かないで、半泣きだった顔を一瞬で変えると、じみんが顔を引き攣らせて〈……お前、組長の娘じゃなかったらとっくに殺してた〉という。

その反応にきゃははと笑って見せると、小さく舌打ちをされてしまった。

じみんは怒ったりイラっとすると人が変わるからおもしろい。
よくてひょんと一緒に揶揄って遊んでるけど、全然飽きないな。