最恐護衛 (ページ30)

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一瞬の出来事。
頭がついていく前に海からの冷たい温度が体中を支配した。
海から頭を出して、一瞬で酸素を入れ込むと、もう一度身を隠すように体全体を沈められる。

息が続く限りじょんぐくとてひょんに引かれるまま泳ぎ、また酸素を入れる。
それを何回か繰り返した後、倉庫から離れたところに止めてあった漁船に三人で乗り込んだ。

服を脱いで水分を絞りだす二人に、見ていられなくて船内で少しだけ距離をとる。

「死ぬかと思った……」

熱いと冷たい、極端な温度を一気に味わったのは初めてだった。

びしょ濡れになった服を着用したまま2人と同じように絞りながらそんなことを一人で呟く。
水をいっぱい含んだ靴が重くて、邪魔で。
裸足になって漁船に立った。

2人の元に戻ろうと靴を持って歩き出すと、いきなり足の裏に鋭い痛みが走る。

「痛っ、」

足元を見ると、漁船の中には壊れた器具の破片が沢山散らばっていて。どうやらそれを踏んでしまったらしい。
周りを確認しないで感情のままに動いてしまったことを後悔すると同時に反省する。

幸い、てひょんとじょんぐくはわたしが怪我をしたことに気が付いていない様子だった。
これ以上重荷になるわけにはいかないし、心配かけたくない。それに、たいした怪我じゃないし。

そう思って静かに足の裏に刺さった破片を取って靴下と靴を履いてなにもなかったことにしてから2人の元に行った。

この行動が後に酷く後悔することになるとは知らずに。