最恐護衛 (ページ29)

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「うわ、すご…」

感心している場合ではないのだけど、あまりの強さに歓声を向けずにはいられなくて。
呆気にとられているとじょんぐくが窓を開けて『ひょん、先に行ってください』と声をかけた。

「いや、ここ二階だよ…？無理でしょ、」

と心配している間に、わたしが最後まで言葉を放つ前に飛び降りたてひょん。

……まじ？

『次、お前行け』

引っ張られて腰を持ち上げられる。

いや、まってまってまって。
待ってる余裕なんてないだろうけどまって？死ぬって。

慌てるわたしをじょんぐくが窓から突き落とす。
前から落とされて、受け身も取れずに痛みがやってくると目を閉じる。
だけどやってきたのはてひょんが受け止める筋肉と骨の感触だった。

あ、そうだよね。だからてひょんが先に降りたんだよね…。

二階から落ちたはずなのに、全く平気そうに立っているてひょん。
きっと、受け止められたわたしのほうが衝撃を受けている。

じょんぐくもわたしを降ろした後にすぐに降りてきて。
三人が外に出た瞬間、小部屋にも火が回っていくのが見えた。

とりあえず外に出たのはいいものの、すでに火はかなり回っていて。
安全に通れる道なんかないくらい囲まれていた。

「ねえ…どうしよう」

前も後ろも、逃げ道がない。
絶望的な状況にも関わらず、2人は笑っていた。

『どうしようもなにも、1つしかねえだろ』

【だね】

そういって2人が見ているのは、まだそれでも小さく火が回っている先にある海。

いやいや、わたし泳げないっつーの。
それに小さいとはいえ、火が回っている場所を通れと？
無理すぎ。死ぬ。いやもうこれ死んだ。

まあでも、行くしかないよね。

そう思って覚悟を決める。

自分の足で行こうと前を向いた瞬間、じょんぐくが私を抱きかかえて走った。
そしてそのまま火の中を走って海へと飛び込む。