最恐護衛 (ページ27)

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「じょんぐく、沢山走って疲れてるでしょ？この先もなにがあるかわからないんだからベッドで横になりなよ」

『それ、俺のセリフ。お前の護衛なんだからお前を差し置いて自分だけベッドで寝るとかあり得ねえだろ』

「護衛なら守ってくれないとだめでしょ？じょんぐくに少しでも万全な状態で守ってもらうためにわたしはここで寝るんだよ」

どちらも引かない言い合い。
じょんぐくの言い分もわかるけど、わたしの言い分も筋を通っている。

「少しでも疲れを取ってほしいの。わたしには何もできないから。こうすることしかできないから」

なにもないわたしが、生まれた環境だけで彼らに世話をかけている。
それが仕事だとしても、申し訳なくてたまらなくなる。
今日をもってしてはじめて、自分の無力さを痛感しているのだから。
なにもないわたしを、組長の娘だからという理由で守ってもらえるのがどれだけありがたいことか。
なにもできないからこそ、小さなことでもできることすべてをしないと気が済まなかった。

「分かってよ」

少し強くそう言うと、じょんぐくが『……なら、こうすればいい』といっててひょんを叩き起こす。

【痛いんだけど！？なに！？！？】

じょんぐくの鉄拳で目を覚ましたてひょんが飛び起きる。
そしてなにがなんだかわかっていないまま、下に落とされた。

てひょんを下に落とした瞬間、じょんぐくがわたしを抱きかかえてベッドに倒れこむ。

『これなら文句ねえだろ』

そう言ってわたしの持っていた毛布を半分こしてお互いの体にかける。

そして、相当疲れていたのかじょんぐくが意識を手放すようにすやすやと寝息を立てた。

いや、文句ありまくりだよ。
どこから突っ込んでいいのかわかんないよ。

そんなことを言おうとしても本人は眠ってるし、それ以前にわたし自身も相当疲れていたようで、これ以上考える余裕もなくじょんぐくの腕にホールドされた状態のまま自然と深い眠りへと落ちて行った。

【…………いや、俺は？？？？】