最恐護衛 (ページ18)

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逃げて逃げて、逃げまくって。
繁華街の方まで出てきて路地を何度も曲がってやっと追っ手を振り払うことができた。

「じょんぐく、大丈夫…？」

流石に疲れたのか、肩で息をするじょんぐく。
前髪が汗で濡れて、かき上げる姿が無駄に色っぽくて少しだけドキッとした。

『…お前こそ、大丈夫かよ』

「わたしはじょんぐくが担いでくれたから」

『…担いでくれたって言い方、笑』

変なところが笑いのポイントなのか、それとも切羽詰まってるこの状況でおかしくなってしまったのか笑いだすじょんぐく。

「…笑えないんだけど」

声を上げて笑い続けるじょんぐくに、全然笑えない状況のわたしだけが取り残される。

「じょんぐく、ついに頭おかしくなった？」

『いや、全然普通。お前が変なこと言うからだろ』

「変なことなんて言ってない。ってかそれより！！なにがあったのか説明してよ！」

走れって言われるがままにここまできたのだ。今一体なにが起きているのかとりあえず聞きたい。
わたしが危ないのか、組が危ないのか、みんなに何かあったのか。

『俺もわかんねえよ。ただ、一つ言えるのは……』

なにを言われるのかと緊張感が高まる。
ゴクリ、とわたしが息をのむ音がやけに大きく感じて、時が止まったように全てがゆっくりに思えた。

『…屋敷に明らかに組員じゃない奴が乗り込んでたことだけだ』

その言葉になんて反応すればいいのかわからなかった。
聞こえた銃声はいったいなんだったのかとか、誰が乗り込んできたのかとか、色々聞きたいことはあるけれど、まずはその事実が受け止めきれなくて言葉が出なかった。