最恐護衛 (ページ17)

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ほんの数秒、言われた通り息を殺すように黙っているといきなりバァンッと大きな銃声の音が聞こえてきて。
同時に『走れ…っ！」と思いっきり引っ張られる。

「なに！？なんなの！？」

じょんぐくに力強く引かれたまま、歩いてきた道を走って引き返す。

何が起きているかわからなくて、ただ走り続けるじょんぐくの背中に向かって叫ぶように声を出した。
だけどじょんぐくは問いかけには答えないで『いいから走れ！！』とだけ言って走り続ける。

いつも冷静なじょんぐくがこんな声を出すということはただならぬ事態が起きているわけで、わたしたちは今とてつもなく危ない場面にいるんだろう。
だけどわたしには一発の銃声しか聞こえてこなかったし、何も見えなかったからせめてなにがあったのか説明してほしかった。

足の速いじょんぐくに引っ張られながら走るのも限界で「ちょ、…もうむり…」と死にそうになりながら訴えた。その時。

後ろから「いたぞ…っ！！」と何人かの声が聞こえて、そこでやっと自分たちが追われていることに気が付いた。

「え、まってほんともう走れないって、…！」

限界の足を止めないで振り返りながら後ろを確認する。
だんだんと詰められる距離に2人とも捕まったら行けない気がして「じょんぐく、先に行って…、！」と手を放そうと力を緩めた瞬間、まだ余裕で走れそうなじょんぐくが『あーくそ、』と呟いてからわたしを抱きかかえた。

わたしにスピードを合わせていたのか、あっというまに加速するじょんぐく。
障害物競走を走ってるみたいに軽い段差をジャンプして超えたり、後ろに向けて邪魔になるように物を倒しながら走り続ける。

後ろの様子が丸見えになる形で抱えられたわたしは、どんどん遠くなっていく追手を見ながらじょんぐくの足の速さと身軽さに、こんな状況にも関わらず感動していた。