最恐護衛 (ページ16)

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警戒する必要なんてないと思うけど、組の中に裏切者がいるって考えたら組に何かあったのかなって思うのも仕方のないことで。
じょんぐくがわたしの専属護衛になった発端も裏切者対策だし、半年間なにもなかったからって安心できるわけでもない。
つまり、いきなり日常が崩壊しても何もおかしくはないのだ。

わたしのとなりで幹部にひとりひとり電話をかけるじょんぐく。
舌打ちをしているあたり、誰も出ないのだろう。

『様子見に行くぞ』

わたしを一人置いておくという選択肢はないのか、じょんぐくがそう言ってから車から降りた。
ひとりにされて何かあったら怖いから一緒に行くのはいいんだけど。気乗りはしない。

「このまま車の中で誰かに連絡つくまで待ってたらだめなの？」

『そんなことしてたらきりがねえだろ。いつまで待てばいいんだよ』

渋滞のときは待てたくせに。

『それとこれとは状況が違えだろ。いいから行くぞ』

また漏れていた心の声をじょんぐくが拾った後、助手席のドアを開けてわたしの手を引っ張って引きずり下ろす。

なんだかただならぬ雰囲気に、やくざの娘とはいえただの高校生だから怖気づいてしまって。
怖さを紛らわそうと引っ張られた腕に絡みついた。

歩きづらそうにするじょんぐくがわたしの体を引きはがして手をつなぐ形に変える。
引きはがしたままにしないあたり、やっぱり昔の優しいじょんぐくが残っているように感じた。

駐車場を抜けて、屋敷を囲んでいる塀の外を裏から正面に向かって2人で静かに進む。
妙に静かな空間が緊張感を高めて、心臓が強張っていく。

正面の通りに出る手前で、じょんぐくがいきなり足を止めた。

「え、なに……」

背中でわたしを隠すようにして前を確認するじょんぐく。

『ちょっと黙っとけ』

一瞬振り返ってそう声をかけると、また隠れるような姿勢で前を覗いた。