最恐護衛 (ページ15)

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夕方の帰宅ラッシュのせいで渋滞に引っかかる帰り道。
なかなか進まない道路にせっかちなわたしが貧乏ゆすりしているとじょんぐくが膝を捕まえてきた。

「なに」

『貧乏ゆすりやめろ』

「だって全然進まないじゃん。行くときは２０分くらいしかかからなかったのにもう一時間もこうしてるよ。何事？」

帰宅ラッシュにしては長すぎるんじゃないの？

そう思いながらじょんぐくにあーだーこーだ言う。
じょんぐくは自分こそ怒りやすくてせっかちなくせに『そういうときもあるだろ』と顔に似合わず穏やかなことを言っていた。

わたしに無理やり付き合わされたんだからイライラしてもおかしくないのに、本当変なところで優しいというか鈍いというか…。

結局家の近くまでくるのにあの後また1時間もかかってしまって。
15時すぎに家を出てカフェに行ったのに帰ったのは20時前になってしまった。

「すっかり暗くなっちゃったね」

シートベルトを外しながらそう声をかける。
わたしの声かけに無視を決め込むじょんぐく。

「美味しかったねパンケーキ。連れて行ってくれてありがと」

ひとりごとのように勝手に喋っていると、携帯を一瞬だけ開いたじょんぐくがやっと『なあ』と言葉を発した。

「なに？」

車から降りようと少しだけドアを開いていた手を止めてじょんぐくの顔を見る。
じょんぐくは携帯からわたしに目を移すと『誰かから連絡きてる？』と聞いてきた。

その言葉にじょんぐくと同じように携帯を確認すると、通知は来ていなくて。

「来てない。なんで？」

『………降りるのちょっと待って』

わたしの言葉に眉間にしわを寄せる。
言われた通りに開きかけているドアを閉めて座り直す。

なにをそんなに警戒しているんだろうと思ったけど、よくよく考えてみればちょっとおかしな点があった。
カフェに行くだけのに全然帰ってこないわたしたちに、誰も連絡をしてきていないのだ。
別に気にすることないって思うことかもしれないけど、いつもなら遅くなっていなくてもいつ帰ってくんの？とか今どこ？とかいちいち連絡を入れてくる。
高校生のわたしを色々と心配したお父さんによる過保護なものが殆どだし、いつも鬱陶しいなあとしか思ってなかったけど、いざなんの音沙汰もないってなると少しだけ気味が悪かった。

じょんぐくが誰かに遅くなるって連絡してるのかな？とも思えるけど、様子からしてそうじゃなさそうだし。