最恐護衛 (ページ11)

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やくざの娘というのは近寄りがたく、友達ができないようで。
小さいころからずっと組員のみんなしか話し相手がいない。
寂しいと思ったことはないけど、いざ家を出ていくときはわたしの元には誰もいないんだなあと虚しくはなる。
まあ…友達ができたところで長く続くかなんて分からないし、家を出てからできるかもしれないんだけど。

通りすがる屋敷にいる人たち(お手伝いさんも含む)が、言い合いをしているわたしたちを見て”またか…”と呆れている表情をしている。
相変わらず庭園の隅にいるじみんとてひょんは〈行ってやりなよ、じょんぐく〉【行かないほうが後で面倒だぞー】とか叫んでいる。

……ていうか面倒って！！なに！！！

『あーもうわかった。行けばいいんだろ、行けば』

周りに騒ぎ立てられて折れたのか、頭を掻きむしるじょんぐく。

わたしは知っている。この半年で気が付いてしまったのだ。
じょんぐくは、押しに弱い。

最初は嫌がっていても、周りを巻き込んでしつこいくらい攻めればお願いを聞いてくれる。

嫌な奴だけど結構扱いやすくて。最近ではなんだかんだお願いを聞いてくれるじょんぐくが可愛く思えて出した。
たとえるなら……そう、やんちゃな大型犬みたいな。見た目はあきらかに狼とかそっち系なんだけど。

「やった！じゃあ着替えてくるー！」

くるくる回って喜びを表現すると、じょんぐくが『早くしろよ』とため息をつきながら言った。