最恐護衛 (ページ1)

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やくざの娘っていうのはなにもしなくても命を狙われやすいらしい。

敵対している組にとってわたしは絶好のカモだとか。
まあそりゃそうだよね、こんなか弱い女子高生、簡単に人質にできるもんね。

「だからな……お前に専属の護衛を付けることにした」

ちっとも申し訳なさそうにしないで「いいアイディアだろ！」と目を輝かせるお父さん(組長)。

元はと言えばこの家に生まれたせいで狙われるんだから少しは申し訳なさそうにしてよ……。

「いつも空いてる奴が護衛してたろ？でもな、お父さん気が付いたんだ。誰か一人に任せたほうがいいって。お前もそのほうが気を使わないだろうし」

この家にいたら嫌でもやくざのみんなと仲良くなるから気を使うなんてことそもそもないんだけど？

そんな言葉を返さないでお父さんに呆れていると、お父さんんは「それに、裏切り者かもしれないやつが守ってるってなると気が狂いそうだし」と険しい顔をし始めた。

ああ、そっちが本音ね。
最近組内で若頭を潰して次期組長を狙ってる人がいるって噂あるもんなあ…。

火のない所に煙は立たぬっていうし、本当にいるんだろう。
この組は仲間意識が強いから、周りを疑うなんてしたくないけど。

「で、お前の護衛はこいつにした」

”入れ”と私にかけるよりも低く圧のかかった声を出すお父さん。
それと同時に襖を開けたのは………慕っている人ばかりの幹部たちの中で、で唯一嫌いなやつだった。

「……なんでこいつが！？」

誰よりも早く大きな声を上げると、お父さんがけらけら笑いながら「お前、じょんぐくと仲いいだろ？」とわたしたち２人を見る。

「仲良くないんだけど！？むしろ嫌いなんだけど！いやだ！！こいつだけは絶対いや！！」

『……俺は嬉しいけど？お嬢のお守……護衛を任されるなんて光栄なことだし』

ものすごく失礼なことを言ったというのに、お父さんには聞こえていないみたいでじょんぐくの言葉に満足そうに笑っていた。

「無理。ほんとに無理」

『そんなこと言うなよ。俺たち、一緒にお風呂も入った仲だろ』

「いやそれ、わたしが小さい時の話でしょ！？」

わたしがこいつを毛嫌いするのには理由があった。

こいつは……お父さんの前では猫かぶってるけど本当はクソがつくほど性格が悪いのだ。
お守って言ったのもわたしをバカにしてるからだし、今だって揶揄って遊んでる。
とにかく、わたしは生意気で失礼すぎるこいつが大っ嫌いだった。