6.僕の答えと君の横顔【橙】 ページ36
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.僕の答えと君の横顔【橙】
ブレーキ、って、なんや。
お兄さんから聞いた話は、あまりに
僕の知ってるAさんとは
かけ離れているように感じる。
生まれたときから、人に好かれて、
面白くて、真面目で。
なにがそんなに、深刻な響きを持った
ああいう言葉で
形容されるようになるんやろうか。
人混みを、軽く避けながら進む
Aさんの横顔に
そういう影は見えへんかった。
「秋の花火なんて珍しいですよね」
「あまり聞きませんねえ」
「丸山さん、花火お好きですか？」
「好きやな。綺麗で、見てて楽しいし」
「私もです。」
これは、あれやろうか。
僕のあれに気づいてるんやろうか。
いや、気づいてへん訳ないな。
「よく、子供の頃に観に来たんです。
兄達は、私が物心付いたくらいには
大分大きかったので、母と二人で。
なんだかその時のことを思い出しました」
「僕と来てくれると思うてませんでした」
一度ぽかんとした顔でこっちをみて
Aさんは笑った。
脳まで、ようやく言葉が辿り着いたみたいやった。
素直に、好きやと思った。
会場の凄い人数のお客さんたちが、
続々と立ち止まったり、座り込み始める。
軽快なアナウンスが聞こえる。
僕らもこの辺で見ましょうと声を掛け、
日の沈んだ空を見上げた。
「あの、」
「はい」
典型的に、というか、古典的に、
言わんとした言葉は花火の音に消された。
花火に照らされたAさんの顔が、
それだけが胸に残った。
言えへんかった。
言えへんかったけど、僕の気持ちは
随分落ち着いて、答えが出つつあった。
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ゆうみ(プロフ) - りずさん» ありがとうございます！私のイメージがかなりバレるお話かなあと思っています笑 (2019年9月29日 22時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - この話好きです！！不器用で、でも一生懸命な丸ちゃんが可愛すぎて。ヒロインちゃんの背中を押してくれるすばるくんも、素敵。 (2019年9月29日 10時) (レス) id: 8a21356a9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月10日 9時
